『どなたの人生にも5分間必ずチャンスが巡ってきます。それを掴みとることが大切なのです。』
ナディーン・ロピタリエにとってそれは1960年のパリのパーティーだった。
そのチャンスを掴んだナディーンは億万長者と結婚し、ナポレオン3世が愛人のために建てたエリゼ通りの大邸宅に住むこととなりました。
(ロスチャイルド家の紋章🔱)
8、9歳の少女時代から男性の上に君臨する面白さを覚えて地元のコミュニティで女王様のように君臨していたみたいです
ナディーヌは少女時代から贅沢で美しいものに憧れており、セーヌ川の向こう側、ヌイイーの高級住宅地に向かって、〝きっとあの橋を渡ってみせる〟とこころに誓います。
14歳で義務教育を終えると自立心の強いナディーヌはプジョーの下請け工場で女工となりました。
(ナディーヌ・ロスチャイルド男爵夫人)
ナディーヌは当時8階のメイド部屋に住んでいましたがけっして自身の身を粗末に扱うことはありませんでした。
ナディーヌは後にマナーブックを出しますがいいマナーではまず自分を敬うことだと述べています
〝自分自身を軽視する態度はほかのことにも影響していきます。たとえば心くばり、考え方の正確さ、友人の選択の仕方、道徳心へのこだわりが欠けてしまう〟と警告しています。
2年後の16歳のナディーヌに転機が訪れました。
ポールポワレの服もデザインした画家ジャン=ガブリエルドメルグのモデルに選ばれたのです。
ドメルグは14歳で教育を終えてしまったナディーヌに教養を身につけるようにすすめました。
ナディーヌは中学の歴史がジャンヌ・ダルクまでだったのでルイ14世やナポレオンのことも知りませんでした
〝素晴らしい美人でもすぐに飽きられてしまう女性が沢山いるのはちやほやされるのを当たり前と思って自分の方からは何も与えようとしないからだ。
仕事を決してやめてはいけないよ。経済的な自立がきみの支えになる。〟と
努力し、進歩し続けることの大切さを伝えました
ドメルグの紹介で映画監督マルク・アングレと出会い、演劇への道に進むことになりました。
ナディーヌ・タリエという名前で女優を目指します
最初は劇場で足上げの踊り子として働いていました。
そこで出会ったロベール・プランクと出会い、男性の気を惹くのが天才的に上手かったナディーヌに対し、
『きみはこれからいろんな男に出会うだろう。
大金持ちと出会うかも知れない。
しかし男なんていつかは去っていくものだがきみの芸は残る。どんなことがあっても芸を捨ててはいけないよ』
とアドバイスしました。
ナディーヌはそれからどんなに男性から言い寄られても素晴らしい将来をほのめかされても仕事をやめることはせずその忠告に従うことにしました
1955年カンヌ映画祭のレセプションに参加しようとしたナディーヌですがタクシーがつかまらず、通りかかったオープンカーに相乗りを頼みました。
この車に乗っていたのはランス・カリンガムという大富豪の息子でした。
(ロスチャイルド家所有のフェリエール城)
ナディーヌとランスは婚約しますがランスの母親レディ・ドッカーに管理される生活に嫌気がさし、これでは大金持ちになれても自由がないと思い、婚約を破棄しました
仕事に戻ったナディーヌはヨーロッパ、南北北アメリカ、インドシナ半島、マラヤ諸島など世界を3周し、ザ・ザ・ガポール、エヴァ・ガードナー・リタ・ヘイワース・ジェーン・マンスフィールドなど超一流の大女優たちと出会いました。
またジャクリーン・ケネディと知り合いになり、お世辞を言う時はどれほど大袈裟なことを言っても言い過ぎにはならないことを学びました
テレビや映画に出て稼ぎがよくなっても散財するようなことはせずナディーヌはお金を投資して増やしたりしていました
1960年1月20日の火曜日27歳のナディーヌは友人の晩餐会に出席しました。
そこでピンクのサテンのドレスを着た、ナディーヌに話しかけてきた紳士がいました。
それは世界最大の財閥のロスチャイルド家の御曹司のエドモン・ロスチャイルドでした。
エドモン・ロスチャイルドは33歳で長所も欠点も桁外れに大きい男性でしたがナディーヌはこの男性こそ運命の男性だと確信しました。
ナディーヌはそれまでロベール・プランクの教え通り、どんなに大富豪に口説かれても仕事をやめませんでしたがエドモンに出会って一年後、ナディーヌは仕事をやめました。
その当時実はエドモンは既婚者だったのですが後に離婚し、1962年6月26日、エドモン・ロスチャイルドと結婚しました。
中卒で工場で働いていた娘が世界最高の財閥ロスチャイルド家の一員で男爵夫人となれた理由についてナディーヌは、
『世の中には私より綺麗な女、もっと頭のいい女、もっと洗練された女ならたくさんいる。しかし私は逆境を抜け出すために苦闘しただひたすら努力した。エドモンと私は同じ種類の人間だった。』
と語っています。
(ロスチャイルド家のワデスドンマナー、新ルネサンス様式で建てられダウントンアビーのロケ地としても使われました。)
貴族の世界が垣間見れるダウントンアビーの2022の映画とても面白かったです