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(右に椿の花、左手にはスミレを持ったエレン・テリー)

愛とは一体何なんでしょうか

愛とはその人とどこまでもいつまでも一緒に行こうとする決意、その人を励まし続けたいという熱情、そしてその人が生きている、だから自分も生きるという実感のことではないでしょうか

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20世紀末、アールヌーボーの時代のフランスの大女優サラ・ベルナールとも比較されるイギリスの大女優エレン・テリー。

この肖像画はエレンが16歳の結婚当時を描いたものです。若き日のエレンを描いたのは47歳の画家の夫、ワッツです
しかし年の差30歳のこの夫婦はわずか一年の結婚生活でした


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(エレン16歳の時の写真



エレンとワッツの結婚記念として描かれた絵画ですが、題名は〝選択″ です。
絵の中のエレンは右の手の平で包み、顔を近づけて椿の香りを嗅いでいます。左手にはスミレがあります。
椿の花はその豪華な見た目とは裏腹にほとんど香りのない花。一方小さく可憐なスミレの花にはしっかりと香りがあります


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椿とスミレ、それは女優としての華やかな成功と妻としての慎ましい家庭的な幸福のいずれかを選ぶのか?という問いが込められています。

答えは絵の中を見れば明らかなように16歳の若い花嫁は慎ましい家庭よりも華やかな舞台に惹かれていることがわかります

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子供の頃からずっと演じることを続けてきたエレンは役者としての人生を捨てることができなかった

夫であるワッツはエレンのそうした奥底の気持ちを感じとってしまった。

別れの予感を感じたにせよワッツはそんなエレンを愛していたからこそ、このエレンの悲しい〝選択″ を美しく描ききれたのでしょう。


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(のちの大女優エレン・テリー)

かつて愛した人の思い出ほど懐かしく愛おしいものはないし、もう会えないからといって愛した思い出までも忘れられるものでもない。

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(エレンが活躍したのはまさにアールヌーボー最盛期

そして忘れようと強く心に決めた人が実は一生忘れられない人だったりする。

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画面から伝わる若き妻エレンへの限りない愛が別れを予感しながらも強く豊かな色彩で美しく表現されています。

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(20世紀末アールヌーボーを象徴するアルフォンス・ミュシャ)

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