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今から約千年前の1117年のこと、パリにエロイーズという美しい乙女がおりました。

年齢は17歳。この美しい乙女に学問を授けようとエロイーズの叔父は著名な神学者であったアベラールを師とさせます。


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しかしこの美しい乙女に魅惑されたアベラールは、エロイーズを誘惑し2人は禁断の恋に落ちてしまい、密かに逢瀬を重ねるようになります。。



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やがてエロイーズは、妊娠。


エロイーズを見てすべてを知った叔父は、手下を連れてアベラールの大事な部分を切り落とし、エロイーズを女子修道院へ入れ修道女とします。



アベラールも自らの不幸と屈辱のため修道院にはいります。





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ここから2人の手紙を交わし合うようになります。


エロイーズは修道院長になりますが、アベラールとの往復書簡の中で、赤裸々な本心を語っています。





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「私たちが一緒に味わったあの愛の快楽はとても甘美でしたから、私はそれを否定することも忘れることもできません。

どこを向いても、それはいつも私の目の前に生き生きと現れます。

眠っているときでも、その記憶は私に迫ってきます。祈りにうちこむべきミサの儀式の間でさえも、その想い出が憐れな私の魂を虜にしてしまい、私はお祈りよりも恥ずべき思いに耽るのです、



青春の血潮と快楽の追憶は、肉の衝動と熱い欲望をいやが上にもかきたてて、責められる私の本性がひ弱いだけに一層つよく私に迫ってまいります……。

愛の言葉で懐かしいお姿を私の前にお見せ下さい。


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私は結局あなたのご意志に沿うためにすべてを捨てたのです。私に残されているのは、今はただ全くあなたのものになりきりたいという願いだけなのです。




私がこの世を捨てたのはあなたのご命令によるので、信仰心からではありません。もしこんなに多くの犠牲をいたずらに払うのみで、永遠になんの報いも得れないのならば、私の生涯はなんと不幸で、なんと惨めなことでしょうか。」 








30代の敬虔な修道女が書いたとは思えない、なんとも悲痛な恋人への愛を懇う手紙でしょうか。





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しかし熱烈なエロイーズの手紙に比べアベラールの方はどちらかと少し冷めています   







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というのも、アベラールは当時のヨーロッパで有数の神学者、哲学者であり、エリート中のエリートで、将来を約束された身、

非常な名声を得ており、また自分の意見を曲げない性格やプライドの高さ、去勢されたものは不潔なものとされていたので聖堂にはいることは許されず、屈辱感に耐え切れなかったアベラールはサン・ドニ修道院へ逃避しました。







アベラールは神学の勉強にいっそう打ち込み、エロイーズの熱烈な手紙にも、エロイーズを諭して神への愛に導く書簡を残しています。







しかしいつしかアベラールとエロイーズの名前は結ばれない恋人たちの代名詞となり、2人が別々の修道院にいながらも交しつづけた往復書簡(手紙ですねでいうメール?みたいなもの?)、そして一人の男性への愛に誠実でありつづけたエロイーズの思いは、1000年たった今でも色鮮やかに後生に残りました。

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そしてアベラールもエロイーズも奇しくも63歳でこの世を去りました。



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