久しぶりに短編かきました。。。
意味不明に暗い主人公ですが・・・。
「あした」
あした私はいなくなる。私は知っている。でも,アキは知らない。今もただこうして,
私の横ですうすう眠っているだけだ。
髪を,かきあげた。アキの色素の薄くて,細いそれ。自分ののびた前髪を比べると,
彼の髪は,ただおとなしく私の指で遊ばれていた。
あたたかい彼の感触と,静かな息と,小さく音をたてている心臓が,私はたまらなく
愛おしくって,もう一度彼の髪をなでた。そして目をつぶり泣いた。
なぜあしたなのか。きっと私は最後まで黙っているに違いない。あしたは彼と会った
初めての日。過去がなかったかのように,その一年間をすっぽり消してしまえばいい。
まだアキは眠っている。首すじをなでてみる。彼は少しくすぐったそうに閉じた目を
ゆがめて,それからまた静かに寝てしまった。
暖かい日差しが,アキの部屋にいきわたる。私は少しまぶしいと感じて,カーテンを
閉めるためにベッドからゆっくり降りた。
「ん・・・」
アキは小さな声を出し,振り向いた私にくりっとした目を向けた。ねぇかえで。きょうは
○○へ行こうよ。
アキはにまっと笑って,ベッドから降りて私のほうへ来た。ねぇ。
そうだね。私はできるだけ自然に笑った。よくわからない。きょうはあと12時間しか
残っていない。それでも。
それでも私たちは準備をして,○○へ行った。あしたまであと10時間。
枯葉舞う季節。私は下ばかり向いていた。アキが私をひっぱった。空が,きれいだよ。
少し風が吹いて,少しずつ黄色と緑の葉が落ちてきて,青い空をかすめていく。
時は静かに,着実に流れてゆく。
ねぇ。
アキは私の手に何か持たせた。手を開くと,それは銀色に光る何かだった。
私はどうしようか困った。アキは私の手からそれを取り上げ,私の左手の指にはめた。
冷たい。そして綺麗すぎる。私は泣いていた。
彼は私のなみだをふきとった。そして微笑んだ。
ぺた。彼のあたたかい手がほおに触れた。とく,とく。鼓動の音。・・・もう一度,彼は
微笑んだ。
あした。あと少しであしたが来る。雲が隠すせいで,星が気まぐれに光っている。
あした。
あしたが来ても,私のぬくもりはアキに残るのだろうか。私は手を伸ばした。
ぺた。
意味不明に暗い主人公ですが・・・。
「あした」
あした私はいなくなる。私は知っている。でも,アキは知らない。今もただこうして,
私の横ですうすう眠っているだけだ。
髪を,かきあげた。アキの色素の薄くて,細いそれ。自分ののびた前髪を比べると,
彼の髪は,ただおとなしく私の指で遊ばれていた。
あたたかい彼の感触と,静かな息と,小さく音をたてている心臓が,私はたまらなく
愛おしくって,もう一度彼の髪をなでた。そして目をつぶり泣いた。
なぜあしたなのか。きっと私は最後まで黙っているに違いない。あしたは彼と会った
初めての日。過去がなかったかのように,その一年間をすっぽり消してしまえばいい。
まだアキは眠っている。首すじをなでてみる。彼は少しくすぐったそうに閉じた目を
ゆがめて,それからまた静かに寝てしまった。
暖かい日差しが,アキの部屋にいきわたる。私は少しまぶしいと感じて,カーテンを
閉めるためにベッドからゆっくり降りた。
「ん・・・」
アキは小さな声を出し,振り向いた私にくりっとした目を向けた。ねぇかえで。きょうは
○○へ行こうよ。
アキはにまっと笑って,ベッドから降りて私のほうへ来た。ねぇ。
そうだね。私はできるだけ自然に笑った。よくわからない。きょうはあと12時間しか
残っていない。それでも。
それでも私たちは準備をして,○○へ行った。あしたまであと10時間。
枯葉舞う季節。私は下ばかり向いていた。アキが私をひっぱった。空が,きれいだよ。
少し風が吹いて,少しずつ黄色と緑の葉が落ちてきて,青い空をかすめていく。
時は静かに,着実に流れてゆく。
ねぇ。
アキは私の手に何か持たせた。手を開くと,それは銀色に光る何かだった。
私はどうしようか困った。アキは私の手からそれを取り上げ,私の左手の指にはめた。
冷たい。そして綺麗すぎる。私は泣いていた。
彼は私のなみだをふきとった。そして微笑んだ。
ぺた。彼のあたたかい手がほおに触れた。とく,とく。鼓動の音。・・・もう一度,彼は
微笑んだ。
あした。あと少しであしたが来る。雲が隠すせいで,星が気まぐれに光っている。
あした。
あしたが来ても,私のぬくもりはアキに残るのだろうか。私は手を伸ばした。
ぺた。