仕事の合間におけいこ。

沢山フルートのおけいこをした。

思えば去年の五月か、六月くらいからずっと同じ曲ばかり練習している。

難易度が高いハ短調を吹き続け、更に何度も繰り返し、時には、師匠から、習う事が一時間のうちに数章節という日もあり。

細かく、細かく、詳しく習う。

バロックは、とても奥が深く、楽譜どうりに吹いていては笑われる。

今から、数百年前の人達がそうであったように、アマチュアが、専門的な音楽のルールを知っていたらしい。

主に貴族の必須科目のような扱いだった音楽は、楽譜に書かれていない、専門的な見解を音としてかなでなければいけない。

それらは、音楽大学に通う学生が、普通に習うものではない、数百年前の音楽を演奏した時に使われていた、当時の楽器、または、そのレプリカを使い演奏をする事を選んだ者しか習わない、特別なルールを学び、実践しなくてはならない。

昔の楽器を選び演奏をする事を選んだ者は、ただ楽譜どうりに吹いていては笑われるのだ。

この章節の前のこの一音が、次に来る旋律の調を予感させるべき音として吹け、それは高すぎ、この音は低くとか、同じ音でも高さ、低さの扱いやら、フーガのような曲には、音符の音価どうりではなく、これは、長めに、これは、短めにとか、アーティキュレーションを作り等、約束事が沢山ある。音符と音符との隙間を曲に合わせて作り上げなければいけない。

楽譜に書かれている音符どうりに普通は吹く。しかし、バロックは、違うのだ。

音の塊が進行する方向で音量がどの様に変化するか、音の揺らぎ方消え方、演奏する曲が、フランスの舞踏曲ならば、その舞踏曲の名前を聞いたらば、その踊りのリズムが頭によぎらなければならず、また、それが書かれていない場合も、楽譜を見て、何の舞踏曲かが解らなければいけない。

そんなことをかれこれ何十年やって来た事か。

思うままにならないが、楽しいことだ。

全部を完全完璧にはいかない、プロではないから当たり前。

しかし、アマチュアなりに楽しめればよい。

私は、何故か今の楽器を好まない。

金属で出来たフルート、バルブのついたトランペット、キーが沢山ついたオーボエや、バスーン。
金属の弦が張られたバイオリン。

これ等は、私の好む楽器ではない。

勿論ピアノも。

心の底から、バロック音楽を好むから、鍵盤楽器は、チェンバロか、フオルテピアノがよい。


今の楽器を使いバロック音楽を演奏したものも聴かない、とゆうか聞けない。

なぜならば、学ぶべき事が欠けた演奏は、嫌なのだ。

それなりに、バロック音楽を演奏すると、約束事が無視された演奏は、イライラする。

舞踏曲が、その踊りのリズムを刻まない演奏は、聞けないのだ。

困ったものである。

自分の演奏でさえイライラする事を棚にあげて、イライラするのだ。

困ったものである。

今週末また、おけいこ。

師匠は、ずっとハ短調ばかり練習していると、大変だから、たまには、遊びの曲を持ってきて、デュエットで、気晴らしをしましょう!と言われている。

いちおう練習している曲を見て頂いて、たまには、遊びの曲で、デュエットを楽しもうかな?と思う。

ただそれも、それなりにオソロシイ。

師匠の吹く装飾音や、パッセージの扱いを直ぐに真似たり、相手のしたいであろう音楽を理解して、吹きながらぶち壊さないようにまとめあげたりしなければいけない。

何せデュエットこそバロック音楽を習うための、理想の教材であるのだから!

これもまた、大変な事です。

楽しい事は、やはり辛さを伴わなければ得られないのです。

しかしながら幸せな事です。

なぜならば、学ぶべき教材の曲が、音楽の歴史において、名をなしたる偉大な作曲家、当時の最高峰にあった王室音楽家の名曲、佳曲ばかりです。

練習曲が、教材が、名曲。

バロック音楽を習ってて、とても幸せです。

明日も練習。

そして、遊びの曲を楽譜棚から選びます。




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