あれはお花見に行こうとして

関西某地を訪れた時の話。


お寺の桜が有名なところがあって

そこへ行くつもりが

ものすごい人・人・人にお花見を諦めた。


そのお寺へ行くのにまず

ロープウェーで昇っていくのだが

そのロープウェーのお値段も高いし(高すぎる)

おまけに駐車場代がバカ高いので

仕方なく・・・そのお寺を後にする。


その後、別の場所でお花見しようかという話になり

ナビを見ながら適当に走っていたら

だんだん私の頭の中がおかしくなってきた。


うまくいえないが

頭をおもいっきり鷲掴みにされてるような感じ。

脳内も朦朧状態で、クラクラするし

旦那に話しかけられても答えられない。(わかる?)


助手席で倒れてたら

旦那が何か喋りつつ

ハンドルを山の中に切っていく。

人が多かった山里から、どんどん奥深い山中へ向かっていく。


何か言おうとするんだけど

この鷲掴みしてくるモノが強烈で

旦那に話しかけられない。

車はどんどん山中に行く。

この先どうなるんだろうと思いながら

私は必死になってソレに抗うんだが、効果なし。


車はどんどん山中を走り

車一台も通らないような場所を通過していく。

今思えば旦那も操られていたのかな?と思うが。


そして小一時間過ぎて

ようやく山から出られた。

鬱蒼とした森林に囲まれたところから

いきなり明るい場所に出られたので、家族一同安堵した。


しばらく車を走らせていると

人がぽつぽつ歩いてる姿を目撃する。

そのうち車をたくさん見ることになる。

道中大きな看板を目にし

ここら周辺は某遺跡跡地らしいということがわかった。


通りすがりの人に聞いてみると

遺跡跡地にはたくさんの桜が植えられていて

飲食店や売店もあり、駐車場代も割安で

地元の人たちは皆ここでお花見すると聞く。


そこでお花見するかということになり

喜び勇んで、車を降りた。

面白いことに、この場所に着いてから

脳を鷲掴みにされるような感覚は収まった。


あれは何だったんだと思いながらも

ここら周辺の桜の見事なことに感動し

家族で昼食を食べ、あちこち歩き回った。


桜をだいぶ見回った時、背後から何かの気配を感じる。

振り返っても、何もない。

そのまま歩くと、また気配を感じる。

また振り返る、そして何もない。


そんなことを繰り返しつつ、桜を眺めていたら

ある人だかりに気がつく。

大勢の人間が集まって騒いでいる。


あれは何だと近づいてみると、それはここのメイン・・・

遺跡跡地(略)なのであった。


赤い光を解き放つその物体がどうも遺跡跡地らしい。

遠くから見るだけでわかる。

その遺跡はブンブンと脈動打っている。

まるで大きな生き物みたいだ。


そこに人がたくさん集まっている。

旦那が「面白そうだからお前も行こう」と誘うのだけど

私はこんな生き物みたいな遺跡なんかに行きたくない。

脈動打ってる時点でヤバいだろ、これは。

冷や汗垂らしながら、後ずさりした。


「行きたくない、遠くから眺めるだけにする」と断ると

旦那が「いいからいいから」と、強引に引っ張っていく。


知らない人間が見たら

さぞ滑稽に見えるだろう。

普通の人が見たら、それはただの遺跡だから。

見える人にはわかるだろうね。

これがどんなもので、どんなに恐ろしいものかと。


ともあれ、バカ旦那のせいで無理やり引っ張られるようにそこへ連れて行かれ

遺跡の中に入った。

試しに遺跡に触れてみると

ビリビリっとおもいっきり電流が流れてきた。


ものすごい威圧感と視線。

よく見れば古代の人たちなんだろうか?

たくさんの人間たちの意志を感じる。


どうやらこの遺跡を使って、大掛かりな呪い(呪術)をしていたらしい。

古代の人たちにとって、ここは今も大事な「場所」なんだと悟る。

そして地質学的にもここは面白い巨大スポットなんだと気がついた。

この自然の力と呪術の力を遺跡に結集させていたんだろうか。

何かの目的で。

古代人の知恵に身震いしてきた。


嫌がる私と対照的に

しばらく桜と遺跡を堪能した家族たちはだいぶ満足し

帰宅には少々早いが、遺跡跡地を後にした。


帰りの車中、何かの気配が絡みつくように尾いてくるのだけど

とりあえず放置した。

遺跡跡地から遠く離れれば、

そのうち無くなるだろうと高を括ったのがいけなかったのか?

気配は相変わらずしつこく尾いてくる。


運転する旦那に「ヤバいみたい。頼むから運転だけは気をつけて」

「子どもたち、シートベルトはしっかり締めて!」

言ったか言わないか。

後続のトラックに追突された。


あらかじめスピードは出していなかったし

車間はしっかり空けておいたから

玉突きにはならずに済んだ。


思わず旦那と顔を見合わせた。

「やっぱり、やられたか・・・」

二人とも同じこと思ったらしい。


事故処理を済ませ、無事帰路に着いたが

その後の気味の悪いこと。


引き寄せられる、いや誘導されるように遺跡跡地に連れていかれ

遺跡を見て、そして事故に遭った。


たぶん遺跡の主たちは私たち(いや私か?)を「敵」と見たんだろう。

あの場所に侵入してきた敵とみなしたんだろうか。

それかこのスポットの存在に気付かれて、利用されると危機感持ったのか?

「脈動打ってる、怖い」と言った時点で

余計なこと言いやがって!と思われたかもしれん。

何はともあれ、私は無意識的にシマ荒らししてきたらしい。



関西はとくにこういうスポットが点在しており

大怪我をする確率が高い。

いまだに仕掛けが張ってあるのも多い。


意識的に気を付けていても

こういう目に遭う。

それならば最初から訪れない方がいいかもしれんと思い、

それ以来その地周辺には行っていない。