夢に叔母が現れた。
叔母が
「櫂ちゃん・・・・」
囁くように
話しかける。
懐かしい顔に
わたしは嬉しくなる。
久しぶりの対面なのに
なぜか叔母の顔に涙が・・・
涙が一滴流れていく。
「叔母さん、どうかした?」
わたしの質問に
叔母は何も答えない。
何も答えず
ただはらはらと涙を流すだけ。
「叔母さん?」
何度話しかけても
叔母は答えない。
そのうち叔母が
手をすっと伸ばして
わたしの手を引き寄せた。
叔母がわたしの手を握り締める。
うん、うん。
わかってるよ
わかってるよ。
叔母はわたしの言葉に頷きながら
目に涙を浮かべる。
「もう時間だから帰るね、バイバイ」
叔母の手から
自分の手を引き抜こうとする。
そうしたらまた
叔母が
わたしの手を強く握り締める。
強く握って、離さない。
わたしも強く握り返す。
私たちはお互い手を握り合った。
相変わらず
叔母の手は温かくて優しい手だ。
この手にどれほど慈しんでもらっただろう。
どれほど救われただろう。
叔母の手に触れて
温かい思い出が甦る。
「叔母さん、心配かけてごめんね。夢に出てきてくれてありがとうね。」
叔母は微笑み
そしてようやく手を離してくれた。
「じゃあね、バイバイ。またね。」
叔母に手を振る。
叔母もわたしに手を振る。
「またね。」
叔母が
いつまでも手を振っている。
「さようなら。」
いつまでも手を振る叔母を背に
元の世界に戻っていった。
もうすぐ叔母が亡くなった年齢に近付きつつある。
よく可愛がってくれた叔母。
大好きだった叔母。
亡くなっても
相変わらず優しかった。
心配かけて
本当にごめんね。