大きな水門の前にいるわたし。
よく見ると私だけじゃない、他にも人がいる。
男たちが3~4人いる。
男たちが口々に「この水門を開けるか・・・」
話し合いだした。
「ちょっと、待って!」
口を挟むわたし。
「いま水門開けたらどうなるの?開けたらたくさんの水が下流に流れるよ?
それに耐えられると思う?この状況で?」
わたしは下流地域を指す。
実際は水門下の光景は見えないはずなのだが
脳の中に下流地帯の様子がクリアに見えるのだ。
「いいんだ!仕方ないんだ!どのみちこの水門はもう耐えられないんだ!!」
男たちは口々に叫んだ。
そして大きな水門を開け始める。
「嗚呼、嗚呼、やめてやめて・・・」
懇願するわたし。
しかし、水門は開いたのだった。
膨大な水が轟音立てて、下流に勢いよく流れていく。
顔を覆って、泣き崩れるわたし。
しばらくして、下流の方からまた轟音が聞こえ始めた。
何が起こってるのか、自分の目で確かめたいと思い、下流地帯へ急ぐ。
急いで行った先は
泥流地帯と化した市街地だった。
なんとか屋台骨だけある家、ビル。
ほとんどの家は水で押し流された。
人も見える
流された人だ。
たくさん流されてる。
泣きながら、泥流地帯を歩き続ける私。
泥に塗れた市街地を歩いてたら
急に思い出した。
知り合いのお婆さんのことを。
お婆さん、どうしてるのかな?
心配になってきた。
無事生きてるといいけど。
焦りながら、お婆さん宅に向かう。
向かった先、たぶんこの辺りにたくさん住宅地があったはずなんだけど・・・
いま自分の目に映る限り
泥流に押し流された建物、全壊した建物、車、物が溢れかえるばかり。
そこには絶望以外、何もなかった。
泣きながら、お婆さんを探し回る。
探し回ってたら、ある人から声を掛けられた。
「誰か、お探しですか?」
女の人が声を掛けてきた。
「そうです。知り合いの・・・」
「私も今、親戚を探し回ってるのよ。。。」
女の人がいう。
続けて彼女は、「もう少ししたらバスが来るから。バスに乗って一緒に行きません?
もしかしたらお婆ちゃんに会えるかもしれないわ」と言う。
私は彼女の厚意に甘えて、一緒に行くことにした。
バスに揺られて小一時間。
大きな白い建物についた。
そこにはたくさんの人・人・人。
「あなた、証明書持ってる?持ってないと間違われるわよ?」
彼女が言う。
「何の証明書?」
チンプンカンプンな回答に、彼女はしばし呆れ、
「少し待っててね・・・」と言い残して何処かへ立ち去った。
その間、わたしはボーと周りを眺めてる。
いろんな人たちがいる。
みんなザワザワしてて、忙しそう。
彼女が帰ってきた。
手に何か持ってる。
それをわたしの首に掛けた。
「これは絶対外しちゃダメだからね。絶対よ?」
それは白い紙みたいなもの。
紙がパスケースの中に入ってるだけ。
おまけにその紙に薄い字で何か書いてあるが、よく読めない。
こんなもののどこが大事なのか分からないが、そんなことは今はいい。
早くお婆ちゃんに会いに行きたいのだ。
身に着けて、準備万端。
急いで人混みを掻き分けて、お婆ちゃんに会いに行く。
背後から彼女の声で
「時間、守ってね!!」と、大きな声で言われた。
そんなことはどうでもよく。
早くお婆ちゃんに会いに行きたいのだ。
「お婆ちゃん、どこ?」
いろんな人たちに聞いて回り、ようやく一人のおじさんに
「あそこにいますよ!」と教えてもらう。
いた、いた。。。
お婆ちゃん~・・・
見ればお婆ちゃん、
たくさんお花が飾られた部屋の片隅で
一生懸命、習字のお稽古している。
達筆な字、字。
相変わらず、上手な筆裁き。
大きな声で「お婆ちゃん~」と、呼びかける。
お婆ちゃんが筆を持つ手を止め、こちらを見た。
急に笑顔になるお婆ちゃん。
ようやく再会できた。
しばし抱擁繰り返す、わたし達。
「よく、こんなところまで、まあ・・・」
お婆ちゃんが頬を濡らて
わたしの顔を見る。
「迎えに来たんだよ。ねえ、一緒に帰ろう!」
お婆ちゃんは残念そうに首を振る。
「ねえっ!一緒に帰ろう!」
何度言っても、お婆ちゃんは首を振る。
そして
「私はもう無理なんだよ・・・」
諦め口調で言う。
「何が?何が?
私が何とかしてあげるよ!帰ろうよ!」
何度言っても、頭を振るだけ。
「わたしはここで満足だよ。みんなもいるしね。好きなこともやれるしね・・・」
「なんでえ?お婆ちゃん!私は迎えに来てるんだよ!」
お婆ちゃんは哀しそうな顔をして、こちらを見る。
そうか、無理強いはいけないんだった。
「ごめんね、お婆ちゃん。つい・・・」
「いいんだよ、会いに来てくれてありがとうね。嬉しかったよ・・・本当に。。。みんなによろしくね。。。」
涙で頬を濡らしながら、お婆ちゃんは言う。
「うん、うん。
ごめんね、もっと早く知らせておけばよかったのにね。
ごめんね。
一人にさせてごめんねえ。
怖い思いさせてごめんねえ・・・
寂しい思いさせてごめんねえ・・・
早く助けにいけなくてごめんねええ・・・」
泣き崩れるわたし。
お婆ちゃんが抱き寄せる。
気遣ってくれてるのだ。
「もうわたしは大丈夫だから、みんな助けてくれるから。大丈夫。大丈夫。
お婆ちゃん怖くないよ。もう大丈夫だから。心配させてごめんね・・・」
お婆ちゃんと抱擁してたら、
どこからか、あの彼女の声が聞こえてきた。
「時間よ、早く戻ってきて!!早くっ!!」
ああ、呼んでる。
でも帰りたくない。
まだお婆ちゃんとココにいたい。
お婆ちゃんが、「それ早く帰らんと!時間がないよっ!」
急き立ててくる。
「わたしのこと忘れないでね?」
お婆ちゃんは満面の笑顔で、「当たり前だろう~」と言ってくれた。
「みんなによろしく言っておいてくれね・・・」お婆ちゃんは言う。
お婆ちゃん、さようなら。
お元気で。
名残惜しみながら、その場を離れる。
急いで帰らないと・・・走り出した途端、あの彼女が目の前に。
「コラっ!!いいかげんにしなさーーーいっ!!」
という、
怒鳴り声で目が覚めた。
予備:
前半の水門と、後半のお婆さんに会いに行く部分は
完全にカラー(意識系統)が違うので、全部同じストーリーじゃない。
切り分けて考えるべき。
水門の方は要注意信号かも?
引き続き動向に気をつけよう。
後編「お婆さんに会いに行く」のは、心霊編。
誰かさんの頼みごとを代行してたらしいw(暇人orz)
無事、中幽世界にいるお婆さんに再会でき、両者とも満足した模様。
お婆さんはもうしばらく時間かかるけど、無事浄化サイクルに入ってるので大丈夫だと思われ。
依頼者もこれで心の整理付いたんじゃないかと。
なにはともあれ
完全無給のボランティア。
でも、こちらも嬉しい気分になることも。
代行業の醍醐味?
ちなみにココに出てくる彼女は自分のお手伝い&助っ人。
見知らぬ人を装ってるが・・・相変わらず。
どうやら本体(わたし)に依存されたくないかららしい。用意周到だことw
白い紙~とは、命綱みたいなもの。
保障みたいなものね。
これがないと、無事向こうから帰れないからよ。
それとチョッカイ防ぐ意味もあるのよね。
それにしても長い夢だったなあ~
でも時間にして数分の世界。
おまけに目覚める数分前にだよ。
またこれを覚えてられる自分が凄い。
この特技?が他にも活かせられたら・・・残念。