少林寺の背後の山中に洞窟があり、
そこを修行の場所に定めて座禅瞑想に入った達磨は、
八年間座り続け、弟子となるべき僧に出会うのを待っていた。
ある雪の降る寒い日、達磨の噂を聞き付けて、
遠方より訪ねてきた若い僧が現れた。
名は「神光」。達磨の座る後ろ姿に心打たれ、
その場に座り込み合掌瞑目した。
降る雪に身体を任せ三日三晩座り続ける神光。
そしていよいよ 達磨は立ち上がり神光に話しかけた。
達磨「そなたは雪の中、座り続けているが、何が望みだ。」
神光「安らかな心です。」
達磨「落ち着かないのか。」
神光「いくら修行に努めても落ち着きません。」
達磨「では、その不安な心を見せてみろ。」
神光「… 今は… どこにあるのか…」
達磨「では 心は落ち着いたわけだな。」
神光「……… どうか私を弟子に!。」
達磨「それより先ず 自分を省みる方が先なのではないのか。」
神光「…(何かを思い出すかのように左手を見つめる)…
達磨「現世の人生は、前世の人生の結果。
来世の人生は、現世の人生の結果だ。」
神光「…」

神光は、夢に見る悪夢が前世の自分の行いの結果であることを 悟り、前世で人を殺めた左腕を懐刀で切り取り投げ捨てた。
達磨「自らの肘を切り落とすほどの覚悟なら 良かろう。
そなたを弟子とし「慧可」と名付けよう。」
こうして慧可はようやく達磨の弟子となることができた。

