カップテスト(その2) | 十方のブログ

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かなり前になりますが、一度取り寄せを考えた珈琲店に、

鹿児島の【ヴォアラ珈琲】がありました。


久しぶりに珈琲に関連する本【美味しいコーヒーって何だ?】を購入したところ、

対談形式で店主のコメントも多くのページが割かれており、

特に、【目の前のカップしか見ていない】という点には共感しましたので、

季節のお買い得コーヒー・コロンビア】を取り寄せてみました。


お店には、カップテストのため購入する旨を伝えておりますので、

ここでは、店名等を明記させていただきました。






さて、開封した瞬間、マスターが『懐かしい匂いがするな~』と微笑んでいました。

(『昔、自分もこんな豆を焼いていたな…』という意味だったそうです)。


 

パッケージの外に漂う匂いからしてもそうなのですが、

封を開けた際に漂う匂いから、これは浅くないということがすぐに分かりました。

浅いのを目指しているという店主のコメントが随所に見られたので、

浅いものを想像していたところ、なんとなく肩透かしをくった感があります。


 

はたして、焼き加減をみると、これでは道化宿の豆には相当するものがありません。

『これと同じものはないよ。どうするかね?』

「う~ん、でもコロンビアですから、まぁコロンビアを…」




 

 

イメージ 1  イメージ 2

   ヴォアラ珈琲:コロンビア           道化宿:コロンビア 





イメージ 3





カップでも比べましたが、やはりこれでは比較ということにはならないとなり、

またしても、フレンチと比べることになりました。





イメージ 4

      ヴォアラ珈琲:コロンビア            道化宿:フレンチ 




 

香りについて、『苦酸っぱい』という表現を、マスターはしばしば使うのですが、

そういうものを感じます(材木臭よりは良いですが)。

浅いでもなく深いでもなく曖昧な中間といったところで

(店主はそれを狙っているのかもしれませんが)、

カラっとした香りでもなく、かといってスパイスの香りが立つのでもありません。


 

マスター曰く、『カップテストは違和感を探すもので、微妙な違和感があるかどうか

を観るんだよ』。

『そういうものがあると最後まで残っていくんだよ。

結局、ぬる湯抽出なんかでごまかすようになる。この苦酸っぱいがどうなるかだね』。


 

一方、道化宿のフレンチは、カラッとした明快な深煎りの香りを感じます。


 

テストの途中でしたが、こんなことなら、これからは「深い」のでやってようか、

という話になりました。

しかし、あの発酵臭のような不快な匂いを嗅がされるのかと思うと、

深煎り豆のカップテストは、正直気乗りしないものがあります。

現実には、そういう豆はテストの前にはねますが…。


 

結局、カップで試すより、淹れてみようとなりました。

【94℃(95℃を若干下げたということでした)で16gをドリップ:デミタス×2カップ】


 

香りと同様、苦酸っぱく、後味に微妙な渋みが残ります。

「苦酸っぱい」の次の香りがあることを期待しましたが、

時間が経っても現れてきませんでした。

全体的に骨格が弱く、エキスが薄い感じを受けます。


 

『昔は、シロッピー(Syrupy)に対して、

スロッピー(Sloppy:水っぽいという意味で)という言葉を使ったんだよ』。


 

結論は、嫌味はないものの、香りも味も単純で、水っぽい(スロッピー)となりました。







 

マスターが、『店主がどういう淹れ方をしているのかということは重要なことなんだよ』と、

パックの記載について触れました。

改めてパックを見ると、【10g180ccを目安に加減して抽出してください】と書かれており、

これでは、いわゆるアメリカンではないのか

(店主がアメリカンではないと考えていたとしても、実際の風味からすれば)、

そのような水っぽい飲み方を推奨しているということなのだろうとなりました。


 

テスト終了後に、「ブラジル」を注文しました。

なめらかな舌触り、よどみなく舌に染み入るような旨味

(「旨味」ということについては後述したいと思います)に、

今さらながら、考え込んでしまいした。



この格差はあまりにも大きい。


 

今、マスターの珈琲が飲めるこの時に、誰か追い付いて来る人はいないものだろうか、

誰か向き合う人はいないのか、と毎回同じことを考えさせられます。


 

その日の会話のしめくくりにマスターが言ったことは、

『(焙煎に携わる者は)自分を驚かせるようなものを作らなきゃだめなんだよ』。

『それが、さらに上へと向かわせるものでもあるんだよ』。


 

珈琲(焙煎)と向き合っている方が、そういうものを世に出してくれることを願っています。