発声の仕方等に課題があるなどの理由から、現在、寺嶋陸也氏編集の混声合唱「にほんのうた3」の民謡等にも取り組んでいるが、本県の「庄内おばこ」の歌詞の中に、「えび」と「かじか」が相撲を取るところがある。団員の一人が「かじか」は「カエル」のことのようですと言ったことから、本当かどうかを調べてみることになりました。

 ネットや県の大御所等からの聴き取りも行いましたが、明確な結論はでませんでした。どなたか知っている方がおりましたら教えて異頂きたいと思います。

 調べた内容についてはつぎのとおりです。

 

 

民謡「庄内おばこ」について (2024.2.19)

 山形県北西部の庄内地方に伝わる民謡です。「おばこ節」は、農閑期の正月などに獅子舞などを門付する出稼ぎの芸人が歌い始め、それがのちに同地方の酒宴の席などで唄われるようになったという。庄内おばこの原曲は、同県の村山地方にあった村山おばこ(昔おばこ)で、それを庄内の民謡研究者の縄野桃山が庄内地方に広め、土着したという。
 おばこは、若い年頃の女性や未婚の女性を表す方言、「おぼこ」が訛ったものだと思われる。合いの手であるコバエテの意味は諸説あるが不明。

 

庄内おばこ(しょうないおばこ)歌詞

 

(1) おばこ来るかやと(ハーコリャコリャ) 田んぼのはんづれまで 出て見たば
(サテコバーエテーコバーエーテー) おばこ来もやせで(ハーコリャコリャ)
用のないたんばこ売りなど ふれてくる (サテコバーエテーコバーエーテー) ※囃子以下同じ

(2)酒田山王山で えびコとかんじかコと 相撲コとったば えびコなしてまた腰ゃ曲がた

かんじかコと 相撲コとって投げられて それで腰ゃ曲がた

(3)おばここの中見えね 風邪でもひいたかやと 案ずられ 風邪もひかねども 

親たちやきんびしくて 籠の鳥 

(4)おばこいたかやと 裏の小窓から のぞいて見たば
おばこいもせで 用のない 婆さんなど 糸車

 

「庄内おばこ」発祥の由来: 羽越本線の遊佐駅から 東に2km。町立遊佐中学校の南東,平津の集落に 帝立寺がある。 その境内に「庄内おばこ節 発祥の地」という石碑と 説明板が建っている。「おばこ節」は 山形県・秋田県など 東北地方各地に歌われている民謡で, 〽おばこ来るかやと 田圃のはずれまで 出て見たば…… という歌詞や“コバエテコバエテ”という合いの手で有名。その発祥については諸説あるようだが,その一つが 当地に伝わる言い伝えが基になった「庄内おばこ節」発祥説である。この寺の近くに梢(こずえ)という名の娘(おばこ)が住んでいて……という言い伝えは碑文に記されている通り。 ※文政年間(1818~1829)のある晩秋の嵐の夜,冷たい雨にうたれた旅の商人が,疲労して一軒の農家に一夜の宿をとった。たまたま,この家に「梢」という娘がおり,板倉を仮の住まいとし,親切に看護したのが縁となり愛し合うようになりました。 旅の商人が訪れるたびに,二人 は板倉や田んぼの外れで逢瀬を楽しんでいましたが,梢の両親は旅の商人との恋を許しませんでした。
このことを知った村人たちは、「おばこいたかやと 裏の小窓からのぞいてみれば おばこいもぜで 用のない婆さまなど糸車」とはやすように歌われたのが始まりと伝えられております。 梢の生家(三郎兵エ)には 囲炉裏をきった板倉が有りましたが,戦後の改築に逢って今はない。

 

「カジカ」とは (ネット検索及び県民謡会の代表者からの聴き取り)

(1)山形県民謡振興会連合委員長で民謡桃菊会代表の髙橋健一さんは、「鰍」で、魚の「かじか」であるとの答えであった。

(2)ネットではなかなか見つからず、ユーチューブを検索したところ「絵美こさめ 唄三昧 三味線教室」の解説では、「河鹿」で、カエルの「かじか」であるとなっている。(アカガエル科)

 

 結論的には、諸説があると考えるのが妥当のようである。(楽譜では「鰍」の漢字が使われている)