11月19日に開催した、河北町混声合唱団のふれあいコンサートでは、本年は特に、町華道連盟と連携し、会場の花飾り行い、格調高い演出は、「一段と華やかさが出てきた」、「和やかな雰囲気で歌を聴くことができた」等多くの来場者から大変な好評を博しました。以下その内容です。このことにより、文化団体同士のコラボ、連携がさらに進むことになることを願っています。

 

ふれあいコンサート会場の花飾りについて

 

 本年度の会場装飾は、初めて河北町華道連盟のご指導とご協力をいただき、会場入り口とステージ前面並びに上手側に飾り付けてあります。瀬戸内寂聴氏の作詞による、「ある真夜中に」の曲想を取り入れ構成してみました。「愛から悩みが生れ」、「この星に生まれて」、「寂庵の祈り」をモチーフにしたものです。

 この中では、寂聴が出家し京都嵯峨野にむすんだ(いおり)((じゃく)(あん))を椿の枝等でイメージしています。それでも寂聴はときめきの世界に生きていたわけであり、会場の内外に、華道連盟の会員や合唱団員が丹精込めて手作りした、紅白の色が交じり合った百個の椿の造花を添えて、その人生を際立たせております。

 この椿の造花は、「お水取り」でしられる東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)の本行入りの前に、仏前に供えるものと同様な作り方をしています。

 奈良東大寺の二月堂手前の国宝の開山堂の庭には、斑入りの「(ろう)(べん)椿(つばき)」が植えられています。ある時「花ごしらえ」で使う真っ赤な和紙に、うっかり糊を零してしまい、零れた糊の部分が白く染まり、その風情が「(ろう)(べん)椿(つばき)」に似ていることから、それ以降紅白の花弁を組み合わせた造花で飾り付けを行うことになったと言われています。

また、「お水取り」の名称は、行中の3月12日深夜になると、若狭井という井戸から、観音様に供える「お香水(おこうずい)」をくみ上げる儀式が行われ、東大寺修二会が「お水取り」と呼ばれる由来です。また、かつては旧暦の二月に行われていたために「修二会」と呼ばれています。現在も休みなく続けられている修二会は「五穀豊穣」「天下泰平」「万民快楽」といった地球上のあらゆる命のあるものの幸福を祈願します。

 なお、椿がモチーフとして用いられたのは、冬に葉を落とさないのは魔力をもち、神聖な木とされる等の考えがあるようです。

※写真は上から、ステージ上の生け花、演奏状況(指揮台の両側にあります)、会場入り口の大生け花