こんにちは。香楽です。

このところアート系記事が続いてますが、今回は神楽坂で鑑賞した、一風変わった演劇の舞台のご紹介です。



筒 | tsu-tsu『全体の奉仕者』
2022年5月7日〜8日 (上演時間40分×7回)
会場:F/Actory(JR・メトロ飯田橋駅より徒歩5分)

ANB Tokyo(六本木)にて4月1日〜10日に計82回行われた舞台の再演。
演者は 筒 | tsu-tsu さんお一人。
森友問題で自死した赤木俊夫氏を演じます。



舞台としている会場も面白くて、若手アーティストが集まるアトリエ兼シェアハウスになってます。

そしてこの舞台の一風変わった点は「ドキュメンタリーアクティング」という聞き慣れない手法で演じていること。
いわゆる普通のお芝居を期待して行くと、良い意味で裏切られます。

まず、起承転結や盛り上がるシーン、オチのようなストーリー展開がありません。

今回のケースで行くと、改ざん事件以前のある「一日」の朝の1時間の言動を、会期中繰り返し繰り返し演じます。






本当に普通の日常の朝の風景・・パンを齧ったり、奥さんと軽口を叩いたり、水槽のメダカに餌をあげたり、ラジオからは落語が流れてたり。

もっと政治的な主張があるものと予想して行ったのですが、全然違いました。
それよりも、ニュースで作られた表のイメージと違う、等身大の赤木さんを(筒 | tsu-tsu さんの中の赤木さんを)、何とか見せようという試みのようです。



舞台も観客に見せるフレームのようなものがありません。
演者の周りすぐ近くに観客がいる形。

私は部屋から外の席にいたのですが、演者がちょっと奥に行くと見えなかったり、小道具も全然見えなかったりして、立ち上がって見に行った方がいいのかな、、?と心配になりました(笑)

上演後は演者と観客とのディスカッションタイムがあり、観客の意見を聞いたり、演者に質問したりします。
実はこれも意味があって、対話を通じて演者の中の赤木俊夫さんを蓄積し深めて行くようです。

まるでアーティストが作品を創り上げる過程を見ているようでした。




筒 | tsu-tsu さんは、映像、パフォーマンス、インスタレーションなど多岐に渡る手法で表現するアーティストであり、また日本舞踊家、俳優としても活動されている、とてもユニークな方です。

常に面白い試みに挑戦している筒 | tsu-tsuさんが次に何を始めるのか、目を離せません!