「ねぇ、あなた…香がいない時、二階で物音がしてたんだけど…気のせいかしら?」
「物音?まさか男でも連れ込んでんじゃ無いだろうなぁ…ハハハ…嘘だろ〜」
「ちょっと、そう言う冗談やめてちょうだい!香は大人しい良い子なんだから…」
「いやいや…無いとは言えないだろう…考えたくは無いけど…もう十九だしなぁ…」
─パパとママからのバースデイプレゼント…
今年も…結局私のコト
何も解ってないよね…
…私の欲しい物じゃ無い…
言ってはイケナイけど…
私の趣味じゃない…
いつもママの趣味だったり
今どきの女の子が好きそうなもの…─
「おいで♡ジャック!」
「私の欲しかったものはアナタよ♡」
「ふふふっ!こら、なにしてんの(笑)」
「あなた!!ちょっと……香、誰かと話してるみたい!誰なの!!香をたぶらかしたのは!!」
「クソっ!俺が行ってくる!!」
「香!かおりー!!開けなさいっ!!」
やだ…何?パパ!?
「今開けるからちょっと待って!」
「何?パパ…」
「香!部屋を見せなさい!どこのどいつなんだ!うちの香をたぶらかしたヤツは!!」
「はぁ?ちょっと何言ってんのよ!!」
「いいから部屋を見せなさい!!まさか大人しい良い子のお前が男を連れ込むとは!」
「いや、男が悪い!うちの娘をたぶらかしやがって人の家に挨拶もなしにこそこそ上がり込むようなヤツ!叩き出してやる!!」
「ちょっと待ってよ!パパ!さっきから何言ってんの!?分かんないよ!!」
「うるさい!!いいからそこを開けなさい!!」
「嫌よ!プライバシーの侵害よ!!」
「親に向かってなんだその態度は!!この不良娘!!」
「きゃっ!!」
……………
「何だこれは……動物……うさぎじゃないか………」
「香、うちではペットを飼えないと言っていたのを忘れたのか……?」
「だって…」
「捨てて来なさい!!」
「パパ…!!」
「それを捨てて来るまで家には帰さん……」
「香は良い子だからパパの言う事聞けるな?」
「(そんな……っ…)」
「はい………。」
こんなの私じゃ無い…!!
本当の私…ゴスロリの私を知られたら絶対怒られるし…
逆らいたい……!!
もうやだよ……!!
ジャックだけが本当の私を知っているのに……!!
このコを捨てろって……!!
もう死にたいよ………
ママはこんな時
何も言ってくれない……
私、いつまで自分を隠して生きなきゃいけないの……
………私はパパには逆らえない………
ごめんねジャック…私なんかがアナタを買ってしまって……
無知だった…何も考えて無かった…
ごめんね…無責任だよね……
私のうちにいたら
またパパに怒鳴られる…
ごめんね……ごめんね……
こんな私なんかいなくなっちゃえば良いのに………
いっそのことジャックを連れて家出………無理だよ
どうせすぐ見付かっちゃうし…
その後が怖い………
ごめんねジャック……優しい人に…優しい親がいる人に飼ってもらって……
一緒に過ごす筈だったハロウィン…
ここまでお話しを読んでくれてありがとう!
子供の反抗…親の思い…無知さ…命の大切さ…責任…
色々な思いを練り込んでます
このお話しの他にシリーズ化した
「名前を持たない兎達」のお話しもあります