『銀河鉄道999 perfect book 宝島社文庫』 | サンロフトの本とテレビの部屋

『銀河鉄道999 perfect book 宝島社文庫』

『銀河鉄道999 perfect book 宝島社文庫』松本零士監修/宝島社/520円


2002年、2006年に出たものの文庫版である。
出た時期からも分かるとおり、大人のための本といえる。
松本零士ロングインタビューの他、テレビシリーズ全話とスペシャル3本の解説。主要キャラ&メカが載っている。
といっても、1979年からのアニメ版『銀河鉄道999』をリアルタイムで観た世代が真っ先に思う、ロマンアルバムのような本ではない。ほとんど文章で、ところどころに設定資料や放送画面が小さく挿入されるのみ。カラーページも冒頭に申し訳程度。
当時を懐かしむのだったら、ロマンアルバムのようにカラーのダイジェストストーリーに、キャラ設定、メカ設定満載の本が望ましい。


でも、私はこの本こそ、よくぞ出てくれた! と感動しているのだ。
2008年12月現在、CSアニマックスで、『銀河鉄道999』が週1回2話ずつのペースで放送されている。子供の頃に観たアニメを大人になってから観なおすと、新たな発見があるものだ。それで、シリーズ全体のおおまかなストーリーじゃなく、各話がどんなエピソードだったのか、猛烈に知りたくなった。
同じ松本零士でも、『宇宙戦艦ヤマト』や『宇宙海賊キャプテンハーロック』と違って、999は1話完結のエピソードの積み重ねであり、どんな話があったのか、あまり覚えていない人が多いはずだ。
星野鉄郎少年が謎の美女メーテルとともに銀河鉄道999に乗って、機械の体をタダでもらえる星へ旅する。ファンであっても、そんな概要しか思い出せないのではないか?
私も、話題の「時間は夢を裏切らない」も覚えていなかったし、全体の1割のエピソードも思い出せなかった。


子供向けアニメにしては、あまりに哲学的で難解。当時の松本零士の人気や、アニメブームという世相があったにせよ、2年以上も放送が続けられたのが不思議である。
現代のアニメは(例外もあるが)ストーリーが力を失っており、また、メッセージもシンプルなものだ。だから、余計に999が難解で異質に感じられる。リアルタイムで観ていた頃とは全く違う印象だ。
この本を参考書として、ぜひ観てほしい。