ゴーゴリ「死せる魂」2-1 | 世界文学登攀行

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世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。

P1-92


楽しく読んできた上巻だったが、中巻は物語が重なり合って、さらに面白くなる。


アクが強い登場人物の中にあって気づかなかったが、この物語の面白さは、実は主人公チチコフにその源があるのかもしれない。
そこまで魅力的でもないし、主人公ならではの際立った性格でもないのだが、感情の表現が豊かで、親近感を覚える。
そして、主人公チチコフの悲喜劇というプリズムを通して、脇役たちが立体的に浮き上がってくるようだ。


社会とは、一種の格闘場なのだと思う。
素直な自分の感情を表現することを是とする風潮もあろう。
逆に、自分の意に添わぬことを心に蓋をして、表現する必要もあるだろう。


時には仮面をかぶって、自分ではないものを演じるのも面白いではないか。
それをピエロとか、偽善とか、レッテルを貼ってしまうのは惜しい。
そんなことを思わせるほど、舞台の上で、名優たちは優雅に役割を演じている。
この物語は、話しの筋は必ずしもそうではないけれど、爽快感がある。


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