P70-167
「名手ゴーゴリ」という言葉が頭に浮かんだ。
登場人物がみな個性的な、退屈しない人たちで、挙動の一つ一つが、また、会話の一つ一つが、とても面白い。
物語を盛り上げるために、あえて用意した人物だというのはわかる。
しかし、それが冷徹な人間観察に基づくものだからだと思うが、作為的に感じられず、こういう人、身の回りにいそうだなあと思う。なにより、ピリッとからい批評には、自分にも心当たりの部分があるからむずがゆくもなる。
ゴーゴリさん、とても上手だと思う。
ストーリーもどこに向かうのかよくわからないまま、軽四輪馬車(ブリーチカ)の歩みのようにカポカポと進んでいく。
読みはじめると、没頭してしまって、わくわくしながら読み進めている。