退去時に、鍵の交換費用を敷金から差し引かれた」、
「入居時、契約の明細書に『鍵の交換代20,000円』
という記述があるけれど、自分が払う費用なの?」、
「入居中に鍵を紛失してしまい、交換することにした
けど費用はどうなるの?」
■入居者が替わるときは、鍵は貸主の費用負担
で交換される――賃貸マンションでは、住人が
変わると鍵はどうなるのでしょうか?
前の住人が退去されて新しい入居者が決まると、
貸主がその部屋の鍵を新規のシリンダーに交換します。
取り換えないでそのまま使う家主もいるようですが、
それでは以前の借り主や関係者が新しい入居者の家に
合い鍵で侵入することもできるということになります。
ですから、新規の契約者には、シリンダー交換済みの鍵を
引き渡すのが、貸主の責任です。
――その鍵の交換費用は誰が負担するのでしょうか
借り主が紛失した、破損したなど過失がない場合は、基本、
貸主側が負担します。
――「退去時に、鍵の交換費用を請求された」という
トラブルが多いと聞きますが、「貸主が負担する」
というのは、法律で決まっているのでしょうか
現在(平成25年1月)のところ、鍵の交換についての法律は
ありませんが、国土交通省が平成16年に制定して改訂を
重ねている、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に
基づいた対処法があります。
ガイドラインですから法的な効力はないのですが、訴訟で
裁判になった場合は、このガイドラインに沿って判決が
下されることが多くなっています。
――では、退去時に鍵の交換代を請求された場合は
どう対処すればいいのでしょうか
払う必要はありませんが、トラブルになるのも避けたい
ところですから、「国土交通省のガイドラインに、貸主側の
負担であることが明示されています。現在では社会通念上、
鍵の交換費用は貸主負担であるとされていますが、どう
お考えでしょうか」と主張し、話し合うのが得策でしょう。
――入居前に、契約書や重要事項説明で「鍵の交換費用は
借り主が負担する」という記述がを見つけた場合はどうすれば
いいでしょうか。また、あまりよく読まずにそれら書面に押印し
てしまい、後から請求された場合はどうすればいいのでしょうか
契約書に明記されていて印鑑を押したからといって、それが
法律的に有効であるとは限りません。訴訟になると過去の
判例に基づいて、契約内容が破棄されることはよくあります。
ですから、泣き寝入りをしたり、払うべきものだと早合点する
ことはありません。
また、「どうもこの鍵は新しくはなさそう」と感じたら、貸主側に
「鍵は取り換えてありますか? 防犯の方法を考えているので」
と質問をしてください。もし換えていないようなら、早急に取り
換えてもらうよう、話しましょう。
管理会社も貸主も、「鍵の費用負担は貸主が行うことが基本だ」
ということは分かっているはずなので、きちんと伝えてください。
■入居者の不注意で取り換えた場合は、借り主が費用を負担
――入居中に、鍵を紛失してしまったので自分で業者に
頼んで鍵を交換した場合、費用はどうなりますか
借り主の過失によることなので、その場合は、借り主の負担になります。
国土交通省のガイドラインには、「鍵の紛失または破損による取り換えは
賃借人負担」とあります。
大切なことですが、自分で鍵を取り換えた場合でも、すぐに管理会社か
貸主側に報告をして、合い鍵を1本、渡してください。
本来、借り主の事情で鍵を交換したい場合は、自分で変えて
しまわないで、管理会社か貸主に事前に相談していただくよう、
契約書に明記されているはずです。
室内で事件が起こった、水漏れがあった、火元になったなどの
非常時のために、鍵は管理者も必ず持つようにしています。
――退去時に、自分で取り換えたことを貸主に告げずに
鍵を返す人もいるそうです
それは悪質ですが、入居時の契約書に、鍵のメーカーや
鍵番号を記入した「鍵受け取り書」の項目があり、ごまかし
ても露見します。
安全に暮らすためにも、鍵を取り換える必要があるときは、
貸主側に必ず告げてください。
――鍵の紛失でトラブルや事件になることがあると聞きます
鍵と身分証明書をいっしょに落とした、盗まれたなどの場合は、
警察に届けたあと、貸主側に連絡してください。鍵をすぐに取り
換える必要があります。
また、鍵にはマンションの名前と部屋番号などを書いた札などを
付けないようにしましょう。拾得者がその鍵を使って侵入した
事件もあります。
最後に
文字通り、鍵は、自分の暮らしの玄関です。安心して暮らせるよう、
新しい部屋に入居するときには管理会社に、「交換してありますよね?」と
確認をし、費用についても契約前に自ら確かめるようにしましょう。
(マイナビ)