グロービートジャパンの真骨頂
グロービートジャパン
を理解するためのキーワードがいくつかあります。まずは「げんこつ」。1992年に「中華そば」一品のみで始まった花月が躍進し始めたのは、次に「ニンニクげんこつラーメン」が登場してからです。このラーメンはそれ以来、根強い人気を誇っています。それにしても「げんこつ」というのはいったい何なのでしょう?
グロービートジャパンの花月ラーメンの基礎となっている「げんこつ」とは、豚の膝の辺りの骨を言います。ここはとんこつの中で最も旨味成分が含まれている部分です。これを主体に魚介類の出汁のスープをうまくブレンドするのが、花月ラーメンの秘密でしょう。ただ、私は別にグロービートジャパンの人間ではないし、厨房に入って作っているのを見たわけでもありません。だからもしかして、私には予想もつかなかった隠し味を入れている可能性もあります。
グロービートジャパンのキーワードの二番目としてあげたいのは「真骨頂」です。「真骨頂」の意味は「そのものの本来の姿」。しかしグロービートジャパンの「真骨頂」と言ったらそれは、Yahoo! JAPANとのコラボレーションで実現したラーメン「濃厚豚骨醤油ラーメン真骨頂」のことを差します。
グロービートジャパン
は2005年10月に、ラーメンを進化させるためのエボリューションプロジェクトを立ち上げました。そのプロジェクトのひとつとして、Yahoo! JAPANと一緒に新しいラーメンに関するアンケートをとり、最終的に138万票の投票が集まった成果を反映したラーメンを実際に販売すると発表したのです。まずはタレを何にするか。醤油、ミソ、塩が圧倒的に票を集める中、一位になったのは醤油でした。スープと具材は「濃厚豚骨スープ+豚肉」。めんは細めんでやや堅く、脂の量は普通でスープの濃さはややこってり、というようにすべての要素がアンケートによって決まって行きました。
グロービートジャパンの「濃厚豚骨醤油ラーメン真骨頂」は現在販売を終了しています。たまり醤油を使った黒いスープは、インパクトが強過ぎたのでしょうか。確かに色によって人間の食欲は変わります。赤いご飯、黄色いご飯は食欲をそそりますが、青いご飯というのはなかなか手がでません。黒い色のイカスミスパゲッティも、その色のために手を出さない人がいます。「濃厚豚骨醤油ラーメン真骨頂」の黒いスープも、とにかく試してみれば病み付きになるのに。今は幻の味となってしまいました。また販売しないのでしょうか…。
グロービートジャパンの社名
グロービートジャパン
を英文表記にすると「GLOBEAT JAPAN」となります。この最初の「GLOBE」には「球体」、特に「丸い地球」を表す意味があり、「GLOBETROT」と書いたらそれは世界中を旅行することを意味します。グロービートジャパンはこの「GLOBE」を、「世界に通じる商品、サービスを追求」するためにつけました。「BEAT」とは「絶え間なく打つこと」。音楽で「ビート感がある」などと言うときのビートです。これは「目的に向かって絶え間なく躍進して行く企業」という意味を表します。
グロービートジャパンの「GLOBEAT」には「EAT」という言葉も含まれます。これは「食べる」という意味ですね。グロービートジャパンは「食べることを通じた人間の幸福の創造」を目指し、「外食はエンターテイメントである」としています。食というのは人間の基本です。人間は食べないとたいてい死んでしまいます。毎日毎日、数回しなければならない食事という行為、これは楽しい方がいいですよね。
グロービートジャパンの花月ラーメンに限らず、人はおいしいものを食べれば喜びます。時には言葉を失って感動します。この感動はいい音楽を聴いたとき、いい絵を見たとき、いい踊りを見たときの感動に比べて遜色がありません。となれば、おいしい食べ物を提供するという行為は、芸術的な行為なのだと言ってもいいでしょう。人を感動させる上質のエンターテイメントとしての食、これがグロービートジャパンの目指すところではないでしょうか。
グロービートジャパン
のジャパンは何のために付いているのでしょう。実は外資系の会社で、本社がアメリカにあったりするのでしょうか。しかしラーメンというのは日本発祥の料理です。原型が中国にあったとは言え、完全に独自の変化を遂げ日本料理として完成しました。ラーメンが日本料理だなんて変だと思う人もいるかもしれませんが、現在ラーメンの本場というのは日本なのです。同じようなものに日本のカレーがあります。小麦粉でもったりととろみを付けたカレーは他の国にはない、日本料理なのです。以前ニューヨークから来た知人に、日本料理でおいしかったのは何かと聞いたら「ラーメンとカレーだ」と答えられたことがあります。
グロービートジャパンのジャパンは、外資系を示しているのではなく、「日本発の食文化を世界に発信」するという意味で付いています。
グロービートジャパンとの出会い
グロービートジャパン
という会社に興味を持ったのは、花月のラーメンに惚れ込んでからです。しかしこのラーメンにたどり着くには、若干の紆余曲折がありました。元々友人の1人が、花月のラーメンは非常においしいと言っていました。ただしそれは聞いただけだったので、私の頭の中では「花月」ではなく「カゲツ」としてとらえられています。それから少しして、近所に「カゲツ」と読む名前のラーメン屋ができたのです。私はすぐに食べに行きました。
グロービートジャパンの社名はその店舗のどこにもありません。と言っても、そのときの私はこの社名を知りませんでした。期待とともに一番おいしそうなラーメンを注文し、そして食べた感想は…「悪くないけれど、そんなに騒ぐほどでもないな」というものでした。その感想を後日、遊びに来た友人に言ったら、彼は首を傾げながらこう言いました。「おかしーな。おまえも絶対気に入ると思ったんだけど。どこの花月で食べた?」「うちの近くにできたからそこに行ってみた。」「はっ? この近くにあったっけ。」
グロービートジャパン
のホームページをすばやく調べた友人は、自信を持ってこう言いました。「ない! おまえが食べたラーメン屋は何か違うぞ。何かが間違っている。」 早速私たちは二人で外に出て、目的のラーメン屋に向かいました。「ほら、確かにカゲツだろ。」 そう私が言うと、友人は「字が違う。花月のカは花。あの簡単な漢字の方の花だぞ。まんじゅしゃげを漢字で書くときに最後に来る、難しい漢字の方のハナじゃないからな。」
「グロービートジャパンの花月をちゃんと味わえ」と言って、友人は私を吉祥寺へと連れて行きました。吉祥寺駅の南口から井の頭通りに出る途中に、「らあめん花月寅」はありました。そこで頼んだのはニンニクげんこつらあめん。私が頼んだわけではなく、友人がまずこれを食べろと言って二人分注文しました。しかも醤油・ミソ・塩味から好きなものを選べるはずなのに、友人は勝手に醤油を注文してしまいました。しかし出て来たラーメンを食べて納得。すり下ろしたニンニクが浮いているとんこつ出汁のラーメンで、とにかくパワーがあります。
「グロービートジャパンってのがこの花月をやっている会社なんだけど、日本の食文化を世界へ…」 そんな友人の声が遠くに響いています。私はあまりのうまさに放心状態でした。
