アンニョンハセヨ~
ユ・ヨンソク様(のキスシーン&あわよくば裸体)目的で、全然期待せずに軽い気持ちで視聴したところ、めちゃくちゃ好みの作品でした。
あまりにも気に入って2周したら2回とも号泣し、視聴後は結構引きずられました
主演のハン・ヒョジュさんは、「イルジメ」での可憐さな美しさが印象的でしたが、今回はそんなイメージとはかけ離れた“悪女”役が圧巻でした。
※画像は日本版Blu-rayジャケ写
■視聴時期
2022年8月
■お気に入り度(5点満点)
★★★★☆
■視聴方法
U-NEXT
■公開年
2016年
※以下はあくまでもkabo個人のたわ言です。マイナス点も挙げていますのでご容赦ください。
※以下よりネタバレありです。
ストーリーは、恋人と親友に裏切られた主人公ヒロインが復讐に走り、その結果自らも破滅するという、松本清張の愛憎劇的な設定です。
しかしヒロインを単に悪女とは思えず、むしろその嫉妬心には共感できて、虚しい結末に涙
そして絶妙だったのは、ソユル(ハン・ヒョジュさん)が、最初は親友を見下していたところです。
そのため、復讐に走るヒロインに同情する一方で、破滅に向かう部分にはどこかカタルシスも感じられました。
でもね、ヒロインはおそらく本気でヨニのことを「親友」と思っていて、無自覚に彼女を格下に見ていたんだろうな。
ヨニも、そもそも自分がヒロインにかなう存在ではないと、2人の間には無意識の上下関係が成立していたと思う。
それを象徴するのが、最初のきっかけとなった人気歌手の公演での出来事です。
本人も周りもステージに呼ばれたのは当然ヒロインだと思っていて、少し優越感に浸りながら立ち上がろうとしたら、実際に呼ばれていたのはライバルとも思っていなかった「親友」ヨニ!
このときの3人の戸惑いの仕草と表情が最高でした!!
でも、それ以上に残酷だったのはお弁当差し入れのシーンです。
公演のときのように直接的な出来事があったわけではなく、恋人のユヌ(ユ・ヨンソク)が他意なく醸し出したアエウィな空気が、完全にソユルに疎外感や敗北感を与えたのよね……
そして、後半で収監中の彼を面会したときも、第一声が「ヨニはどうしてる?」だったのがトドメの一言でしたね
あのときヒロインに別の言葉をかけていたら、あそこまで最悪の展開にはならなかったのかな。
でもその計算力がない男だから、平気で彼女の親友に乗り換えられたんだろし、その前はヒロインのことも本気で愛していたんだろうな。
個人的にこの作品の魅力は、3人のうち誰も悪人がいないから救いようがないところ(もちろん、見方によっては三者三様で悪です)。
そして、奪われたのは恋人だけではなくて、狭い世界で生きてきたヒロインの人生すべてであるところが泣ける
人生を取り戻すための復讐によって、さらに自分の人生を壊している矛盾が悲劇です
時代的にも立場的にも3人の選択と結果が必然だったことが、悲劇を成立させているんですよね
同じ設定で現代の愛憎劇だったら「その復讐はやりすぎw!」「また別の男を探せばいいのに!」で済むけど、妓生の狭い世界しか知らないソユルを思うと、あの展開に納得がいきます。
しいて言えば、彼女の親友に手を出した(というより本気で惹かれた)ユヌが、早い段階で誠意をもって話せばよかったのかも。
でも、そんな気遣いができないから彼は芸術家なわけで、そこは設定の妙だと思いました。
いつの時代も、芸術家はミューズに溺れるものですからね。
それならせめて、ヨニがもうちょっと機転を利かせてもよかったのではとも思うけど、彼女もまた狭い世界で生きてきたから、器用に立ち回ることは難しかったのかも。
物語の肝となる音楽がシーンが、とにかくめちゃくちゃ素晴らしかったです。
歌もピアノも俳優さんたち本人によるものだと知って驚きました。
ハン・ヒョジュさんの正歌も、チョン・ウヒさんの歌謡曲も、どちらもその分野でトップになったことに納得のいくものでした。
特にハン・ヒョジュさんが歌う歌謡曲は、実際にヨニよりも魅力がないことが伝わるクオリティで、逆にすごい!
ヨニの歌い方を必死に真似するシーンも泣けたな(それがラストシーンにもつながっていて、さらに泣けた
)
天賦の才で正歌に誇りを持っていたヒロインが、恋人からの提案で「歌謡曲で“朝鮮の心”になるわ」と決意したのに、結局はその『朝鮮の心』がヨニの曲としてリリースされるなんてさ
そうそう、この曲は実際にウヒさんが作詞したらしいですが、素晴らしい曲でした。
そしてヨンソク様のピアノ
最初はエアだと思っていたら、そのわりには手元がちゃんと映っているし、音と動きがぴったりなのでもしやと思って調べたら、「特技:ピアノ」だって
それなのにジョンウォン先生(賢い医師生活)はドラムにチャレンジしたんですね
もぉーー、ヨンソク様、最&高
もちろんキスシーンも良かったです!!(アップじゃないのが残念だったけど)
そして音楽家の役だから、いつもよりは体つきが華奢でしたね(だから裸体サービスなしだったのかな)
3人の破滅で物語が終わるのかと思いきや、ラストの91年シーンが想像を上回る回収でした
楽屋に訪れたボラ(リュ・ヘヨンさんの役名忘れた)の存在回収も良かったし、50年近く経って『愛と噓』が評価され、自分の価値を改めて知ることになるヒロインの虚しさがつらかった
ヒロインの声の魅力を誰よりも理解していたユヌだからこそ、皮肉にも彼女の歌唱力を最大限に発揮できる曲を作れたということか
そして歌詞の通り、そのときはもう愛情はなかったけど、彼女への懺悔とリスペクトを込めて作ったんですね
あのシーン、鼻を真っ赤にして泣きはらした顔で手紙を書くヨンソク様にも泣けました
今回のヨンソク様のキャラにはそこまで惹かれなかったけど、キャラのイメージにピッタリの役作りはさすがでした
ではまた