アンニョンハセヨ~
長いこと気になっていた本作は、ネトフリやアマプラでの配信で巡り会えず、今回U-NEXTに再加入してようやく視聴できました
設定年代やポスタービジュアルから、ハードコアテイストの歴史ドラマと思って身構えていたところ、意外や意外、中心舞台は現代で、歴史ジャンルというよりはファンタジーで、ラブコメ要素も強めでした。
作中に登場する小説「シカゴ・タイプライター」が「ハードボイルドなのか、ラブストーリーなのか」と問われていたように、まさにそのセリフが本作を表現していると思います。
自分は歴史ドラマだと思って視聴開始したせいで、ちょっと物足りなかったです。
特に現代シーンがスローペースで進む前半は、なかなか物語の世界に没入できず、やや苦戦しました。
よって、満足度は★3つになってしまいましたが、前世と現世がうまいこと交差するストーリーは、とても良かったと思います
■視聴時期
2022年7-8月
■お気に入り度(5点満点)
★★★
■視聴方法
U-NEXT(全22話)
■放送開始年
2017年
■放送局
tvN
※以下はあくまでもkabo個人のたわ言です。マイナス点も挙げていますのでご容赦ください。
※以下よりネタバレありです。
■満足点・共感点
1.設定・美術・OSTが素晴らしい
まずは「ゴーストライターは幽霊」という、目からウロコのような設定が見事
「幽霊のように孤独に生きている作家を幽霊がアシストする」という展開が、ユニークでうまいと思いました。
ゴーストライターが書く物語が彼らの前世のノンフィクションで、その前世での積み残し案件を現世で消化するという、シンプルなストーリーです。
そして初っ端から「シカゴ・タイプライター」というタイトルの意味に唸り、「ペンは剣よりも強く、タイプライターは銃よりも強い」など、パワーを感じられるセリフが各所に効いていて、脚本のセンスが素晴らしいと思いました。
個人的には、コインを投げる賭けを「造幣局が聖地の国教」と例えたセリフがツボだったw
あとは1930年のレトロモダンな美術とセピア色の画面が美しく、その時代の刹那的な世界観にぴったりのOSTに毎回グっときました
現代シーンのセジュのお屋敷も、どこか現実離れした雰囲気があって、そこに幽霊が存在することに違和感がなかったです。
3人の共同生活シーンは「トッケビ」を彷彿とさせる雰囲気がありました(放送時期が近いため、オマージュではなさそうです)。
「ミスター・サンシャイン」をライトにして「トッケビ」の設定にしたような作品でした。
2.ユ・アインの振り幅すごい
今回初めましてのユ・アインさんは、なんとなく気になる俳優さんで、存在は認識していました。
ところが、現代シーンの風貌(ファッション?)が超個性的で、それを消化するまで数話を要しましたw
ハイブランドの最先端ファッションなのでしょうが(※未確認です)、自分はファッションに詳しくないので、戸惑いのほうが大きかったかな
そのキレやすいキャラも含めて(完全に偏見で申し訳ないですが)、カルト教団の信者のような……、さらに半グレの構成員のような……、お世辞にも好意的に受け止められない雰囲気
最終回の全身ホワイトコーデは、リゾート地に来て浮いてしまったチンピラにしか見えなかった
しかし、セジュは「文壇のアイドル」という設定だったため、もしかしたら自分の感覚がおかしいのかな、世間ではこれが良しとされているファッションなのかなと終始不安でしたが、視聴後にレビューをいくつか見たら、セジュのファッションに対しては同じような感想を抱いた方が多かったので安心しましたw(チキンハート)
反対に、前世シーンはめちゃくちゃ魅力的で、同一人物とは思えない振り幅!
前世キャラの魅力を最大限に演出するため、現世キャラとのギャップを敢えて狙ったのかなとすら思えました。
そして現代も前世も、シーンごとにガラリと表情や雰囲気が変わるので、彼にハマったら抜け出せない不思議な魅力を感じられる俳優さんでした。
チェックしている「六龍が飛ぶ」が楽しみです!!
3.クァク・シヤンの声
ユ・アインさんの異次元な魅力を除くと、テミン役のクァク・シヤンさんに惹かれました。
長身&イケメンなのになんとなく“二番手感”のあるオーラも素敵なのですが、自分が注目したのは声です。
Kドラ視聴歴1年半以上経ち、だんだん韓国語の響きに慣れてくると、俳優さんの発音に耳が反応するようになってきて、今回はシヤンさんの声がめちゃくちゃ聞き取りやすかった
それが演技として良いのか悪いのかはわかりませんが、静かに発するセリフのときも一語一句がはっきりしていて、この声で韓国語のレッスンを受けたいと思ってしまったほど
先日視聴した「浪漫ドクター キム・サブ」のハン・ソッキュさんにも同じ印象を抱き、2人の発声の仕方が似ているように思いました。
4.あの時代を生きた人たち
日本統治時代の物語は、日本人としては複雑な気持ちになりますが、純粋に物語として視聴する分にはパワーや魅力があります。
現代なら当たり前の友情や恋愛が、時代のせいで封印せざるをえない設定や、彼らの壮絶な末路には感情を揺さぶられました(とはいえ、後述しますが大きな驚きはなかった)
一番好きなシーンは、前世シーンではなく、3人でのソウル見物かな。
記念写真を通じた恋愛と友情の絶妙な表現と、前世での写真とのリンクが見事だった
平和になったソウル(京城)を見て感激するジノと、セジュが彼に言ったセリフ「あなたたちのおかげで今がある。ありがとう」に胸が詰まりました
■モヤモヤした点・共感できなかった点
●視点の置きどころがわからず
核となるストーリーはシンプルですが、特に現代パートにいろいろなパーツが盛り込まれていたせいか、まさに「ハードボイルドなのか、ラブストーリーなのか」と混乱し、視点や感情の置き所に迷いが生じて物語にハマりきれませんでした。
ハマりきれなかったせいで集中力を欠いていたかもしれませんが、各パーツが中心ストーリーにうまくリンクしきれていないというか、どれも中途半端に感じてしまいました。
特に前半は視聴に少し苦戦しましたが、ユ・ジノの正体がわかったあたりから一気に物語が加速し、前半を見返したくなるシーンがたくさん。
そのせいで、ユ・ジノの正体がもっと早くわかっていたら前半の引きがよかったのでは?と、素人視点ながら惜しいなと思うことがたびたびありました。
その反面、前世パートでは同じシーンが何度も繰り返されたりして、食傷気味になる部分もあり……。
脚本や設定はかなり面白いのに、もしかしたら演出面が合わずにハマりきれなかったのかも。
●ヒロインの年齢設定
1つ前に視聴した「ごめん、愛してる」から、実に13年ぶりのテレビドラマだったそうですが、透明感のある若々しさで、7歳下のユ・アインさんとの並びに違和感なし!(ついでにサブウェイの制服も違和感なし!)
決してスタイル抜群というわけでななく、歯並びもちょっと気になる箇所があるものの(あら探しBBAですみません)、逆にそこがナチュラルで透明感のある魅力に拍車をかけているように感じました
でも、視聴を進めていくと、男性2人よりも若い設定であることに気づき、そこからは違和感が生じてしまいました
特に前世シーンでは、「使い走りの少年」で、男性2人よりだいぶ若い設定のようだったので、ますます違和感が
●着地点が想定内
前世パートは歴史ベースだから、3人の着地点はある意味想定内というか、大きな驚きや感動はありませんでした。
現代パートも、そりゃそうよねという結末で、「あーーー、すごい作品だったな」という余韻があまり味わえずに残念でした。
自分的には、ジノの魂がタイプライターに宿って幽霊になった理由が判明したときのほうが、驚きや感動が大きかったです。
同じ年代を扱った作品「ミスター・サンシャイン」がめちゃくちゃ自分好みだったので、どうしてもそれと比べてしまったのが物語にハマりきれなかった一因かも。
ではまた