本当に営業の上手い営業マンは、喋らないという話を聞いたことがある。
というか、実際にそういう営業マンにも出会ったことがある。
もちろん、彼はとても話が上手いし、とてもわかりやすい。
なのに、商談の肝心な場面・・・
つまり、相手が「買います」と言うその瞬間、絶対に喋らないのである。

考えてみれば当たり前のことで、
商品の説明はすでに終わっている。
メリットも説明した、価格も納得してもらった、不安なところは解消したし、
疑問もすべて解決した。
つまり、もう営業としてやるべきことはすべて終わっているのである。

しかし客は悩む。そう、客というのは元来悩む生き物なのだ。
まるで彫刻のように動かない。
オーギュスト・ロダンの『考える人』は、考えているのではなくて
ただ、買いますの一言を言う勇気がないのである。

買わない奴は悩まないからだ。買えないとか、他に欲しいものがあるとか、
そういう意思の固いやつは、最初から営業マンの前で気まずい沈黙に耐えてまで悩まない。
買わないとただ一言伝えるだけでいい。

でも、そうはわかっていても営業マンも人間、とても不安になってしまう。
この人は本当は買わないんじゃないか?
自分の説明が足りないのではないか?

と不安になって、つい沈黙を破り、余計なことを言ってしまうのである。

口は災いの元
とはよく言ったもので、どんなに用意周到な営業マンでも、
不安から出た言葉は、お客をも不安にし、
やっぱりもうちょっと考えた方がいいんじゃ。。。
そんな気持ちにさせてしまうのだ。

さて、今日は、24thアンダー曲『~Do my best~じゃ意味はない』のお話だ。




この曲が出たとき、オタクはみんなこう思った。
「メンバーはみんな努力してる」
「努力してる姿を見るのが好きなのに、意味がないとはどういうことだ」
「結果=金 か?そうなのか?」
「薄汚い犬!資本主義の豚!」
「アウトロが長すぎる」
「れんたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」

別に、それは間違ってないと思う。
アイドルは過程が大事なんだそれが個性なんだと散々言っておきながら、
(真意はどうあれ)結果主義的な歌を歌わせるのはどうかしてるし
それを「面白い」の一言で片づけ、人の心をオモチャにしたがる精神は、とても醜い。

だから、僕がこれからここに書くこの歌の解釈は、
単なる「なぐさめ」だし、「負け犬」の理論かもしれない。
でも、この曲と付き合っていく上で、
そんな風に考えられたら、ちょっとは楽になるかな?と思ってもらえたら、
それは、なぐさめにも意味があったということになるのかなと思う

まず第一に、よくよく考えてみたら僕は「精一杯やりました」と簡単に言う人間が嫌いだ。
そういう奴から精一杯を感じたことがない。
お金がなかったのでCD買えませんでした~でも精一杯頑張ったんです!
って言われても、お前昨日スタバでコーヒー飲んでただろと。
カップラーメンを食え。30分お湯につけて無理やり大盛りにしたやつを食え。毎日食え。
それでも1000円(税抜き)が出せないなら、精一杯って言ってもいいだろう。

でも、実際にはそんな人はいない。
だって、本当に精一杯やった人は、「精一杯やりました」とは言わないからだ。

冬のマラソン大会、途中で走るのをやめた人は、
過呼吸になりそうなくらいしんどそうなのに、
ゴールで出来た人は余裕そうな顔をしていて、
人間の体力にはこうも違いがあるのか!と思った人がいるかもしれない。

でも、実際に途中どんなにつらくても、ゴールしてみると、
「あ~もうちょっといけたな」なんて思うものなのだ。
なんでもね。

これだけでも、この曲のイメージはだいぶ変わると思う。

もうひとつ、do 「MY」 bestなのだ。
意味がないのは。

do your bestじゃない。
誰かが勝手に「君の努力に意味はなかったよ」って言ってるわけじゃないんである。

自信がないことに挑戦しようとするとき、
手を挙げて「できます」と「やります」と声を上げるのは本当に難しいと思う。

そんなとき、「精一杯頑張ればいいか」なんて思っていたら、きっと手は上げないだろう。
自分なりにやりますでは、思っている以上の成果なんて出ないだろう。

それはたしかにそう思うだろうな。

むしろ、周りの声は優しい
「頑張ってえらかった」
「踏ん張ってよくやった」

って言ってくれるのである。

でも、振り返ってみれば、もっとできたかもしれないなぁなんて、
自分自身納得のいかない出来になるんだろうな。

だから、そういう甘い言葉に負けないように
「そんなのなぐさめだ」「そんなの負け犬だ」って、自分を鼓舞するんだと思う。

「出来る限りやってみます」

これが、成功の母のわけない。

本当に成功するためには、
火事場の馬鹿力とか潜在能力とか奇跡とか
そんなものがいっぱい必要なんだ。

そしたら、
「ちゃんとやったらうまくいく」

って「自信」に繋がるんだと思う。

そう。
だから僕はこの曲は、
自分で決めた枠に閉じこもって、自信がなくなっちゃった人が、
自分の殻を破るために、自分自身に頑張れ!負けるな!って言ってる歌だと思う。

だって、自信があれば、黙っていても営業マンは、務まるんだからね。


2021.02.12
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