(9)菩薩界
菩薩とは、仏の覚りを得ようとして 不断の努力をする 衆生という意味です。
二乗が仏を師匠としていても、自分たちは 仏の境涯には至れないとしていたのに対し、
菩薩は、師匠である仏の境涯に到達しようと 目指していきます。
また、仏の教えを人々に伝え広めて人々を救済しようとします。
すなわち、菩薩の境涯の特徴は、仏界という 最高の境涯を求めていく「求道」とともに、
自らが仏道修行の途上で得た利益を、他者に対しても分かち与えていく「利他」の実践があることです。
現実の世間のなかで、人々の苦しみと悲しみに同苦し、抜苦与楽(苦を抜き、楽を与える)の実践をして、自他共の幸福を願うのが 菩薩の心です。
二乗が「自分中心」の心にとらわれて 低い覚りに安住していたのに対して、菩薩界は「人のため」「法のため」という使命感をもち、行動していく境涯です。
この菩薩界の境涯の根本は「慈悲」です。
大聖人は、「観心本尊抄」で「無顧の悪人もなお妻子を慈愛す。菩薩界の一分なり」(241㌻)と仰せです。
他人を顧みることのない悪人ですら 自分の妻子を慈愛するように、生命には本来、他者を慈しむ心が具わっています。
この慈悲の心を 万人に向け、生き方の根本にすえるのが 菩薩界です。
*参考文献 「大百蓮華」教学入門より、引用しました
<教学> 生命論 「 十界論 」