数年前にパニック症状や身体のあちこちの痛みや痒みを治すために来られていた患者さん。
体調が整うまでに１～２年を要しましたが、今ではすっかり元気に仕事をしておられます。
体調がよくなってからも、たまに疲れを感じたられたときにメンテナンスもかねて治療に来てくれていたのですが、今回は少し間があいて久しぶりに来院されました。
しかし、今回はメンテンナンスどころではなく、身体中の関節が痛くなり、病院では「リウマチの疑いがある」と言われ、まだ検査の結果待ちではあるものの、「これは鍼しかない！」と当院に来てくれました。
話を聞くと１か月前に大きな精神的ショックがあり、そのあとから症状が現れたようです。
精神的なショックを和らげ、身体の熱を冷まし、気の巡りをよくするための鍼を１本だけ施し、３回の治療で症状はすべて消えました。
数年前は治るまでに時間がかかったのに、今回はたった３回という短い期間で治ったことに驚かれていましたが、これは当然のことなのです。
数年前に様々な主訴を抱えて来院されたときは、家で例えるとゴミ屋敷の状態でした。
長年ゴミをため続けたゴミ屋敷の状態から、片づけをしてキレイにするためには時間も労力も必要です。
片づけをしながら、今後どうすればゴミが溜まらないようにすればよいか、養生法を含めて対策を練ります。
そうこうするうちに、時間はかかるものの家は片付き、ゴミも溜まりにくくなっていきます。
この患者さんの場合は、そうなるまでに１～２年という時間が必要だったということです。
いったんこの状態を作ると、ゴミ屋敷には戻りにくくなります。
よほど養生を怠れば別ですが。。
今回数年ぶりに激しい症状が出現しても、数回の治療で治すことができた理由はこれでおわかりでしょう。
久しぶりに症状が出たとしても、以前のようなゴミ屋敷ではないので、片づけは容易です。
たまに初診の段階でゴミ屋敷状態にもかかわらず、「早く治してほしい」ということばかり要求したり、数回治療を受けただけにもかかわらず、治療効果が出ないことで治すことを諦めてしまう方がおられます。
気持ちはわかりますが、ほんとうの意味で身体を治すには、どうしても時間と治療回数が必要です。
ボキボキと関節を鳴らして「はい！腰が曲がるようになりましたね！」というような短期目線の安易な治療では、ほんとうに難しい病や症状は治せません。
初診からある程度身体が整うまでは、どうしても時間がかかりますが、その時間は価値のあるものだと理解していだけると有難いです。