首下がり症候群とは、首が上げにくく、まっすぐ頭部を持ち上げて前を向くことができない、もしくは、できにくい状態を指します。
頭を無理に上げようとすれば、首や背中に痛みを感じる方もおられるようです。
主に加齢や病気により筋肉が落ちたり、過度に筋肉が緊張している状態などが続くことにより、筋肉の機能が衰えることにより、頭部を支えられなくなるのです。
首下がり症候群は、病気が原因で起こる場合もあります。
主な疾病としては、パーキンソン病・ジストニア・ミオパチーなどが挙げられます。
これらの疾病が原因であれば、疾病に対する治療をすることになりますが、疾病を確認できず加齢によるものと診断された場合は、リハビリテーションにより症状を緩和することが目的となるようです。
昨年10月から、この首下がり症候群でお悩みの方を治療しています。
この方の場合、上記のような疾病は確認されず、加齢によるものという診立てで、リハビリテーションを1年半がんばったそうです。
リハビリのお蔭で首をまっすぐできるようにはなったものの、その状態を保つには力を入れなければならず、見た目はまっすぐに見えたとしても本人としてはとても辛いとのこと。
つまり、見た目は整えられているようにみえるかもしれないが、何の解決にもなっていないということです。
中医学では、これらの症状を頭傾(とうけい)と称しています。
中医症状鑑別診断学では、「頭傾とは、首に力がなく頭が前方に傾いて挙上できないことをいう」とされています。
原因としては胃腸の弱りや、加齢によるものが挙げられています。
この方の場合、加齢に加えて疲労が重なったことが原因だと診立てて治療を行いました。
昨年10月から週に1~2回のペースで治療をすすめ、現在の症状を数字で例えると、初診時の10から2もしくは3程度にまで緩和することが出来ています。
首の症状だけでなく、足元に力が入りにくいという症状もあったのですが、同様に緩和されています。
例の如く、治療時に使っている鍼は1本だけです。
このような現代医学では対応できない症状に対しても、我々の立場で診ればよい結果を出すことができます。
というよりも、これこそが我々の医学の存在意義だと思っています。
ちょうど最近も同じ症状でお悩みの方を治療させていただく機会を得たので、同じように結果が出ればこのブログで紹介させて頂きます。