肩
夜遅い電車に乗っていると
ついウトウトと
肩を借りたり借り出されたり・・・
日常の風景
先日
私は疲れて終電車に近い電車に(シラフで)乗っていた
(幸運にも座って)
「あの、肩をお借りして良いですか?」
「え?」
ふと傍らを見るとおそらく20代の女の子。
今、思い出せといわれても
(恐縮ながら・・・)
何も思い出せないくらい印象の薄い
(今となると)その匿名性がとても印象的な女の子だった。
!!!
もちろんこんなことを言われたのは初めてである。
「えっ、ええ・・・、良いですよ。お疲れなんですか?」
「ありがとうございます」
・・・・・・
それだけ言うと彼女はすぐさま私の肩にチョコンと頭を乗せ
目を閉じて少しだけ和らいだ(と思えなくもない)表情で
その後約20分程を共にする事になった。
(う~ん・・・)
驚いたな。
どうしたんだろう・・・。
大丈夫かな。
そんな言葉が私の頭を浮遊する。
電車はおかまいなしに
ガタゴトガタゴト
我々の目的地方面に走っている。
時折
彼女の頭が
ここから離れると息が出来なくなるんです
と言わんばかりに
しがみつく様に私の肩に貼り付く。
気のせいだったらいいな、と
気が気でない私は
後部の窓に頭をつけ中空を眺めながら
行き先のない思いを願うこととなる。
「ごめん、次降りなきゃいけないんだ」
「あ、そうですか。ご迷惑をお掛けしました」
「いえ、それは構わないんだけど・・・・」
続けたかった言葉を私は黙殺した。
しかるべきだったのか否かは分からないが
とにかくそうしてしまったのだ。
出来ることなら
彼女には
泥酔して破天荒になっていたり、
悲しみに暮れ号泣していたり、
あるいは
友達と悪ふざけでこんな事をしたのだ、というような
手にとって見られるリアルな何かを持っていてくれたら
私はどれだけ救われたのだろうと、想像する。
疲れきった真夜中の出来事。
あなたならどう感じますか?
(って、あ~疲れた。。。)