こんにちは!
かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です。
相続のご相談が増えております。それも遺言に関わるご相談が多くなってきております。それだけ遺言文化が進んできているんだなと思います。
さて、本日は、遺言の能力に争いがあるか、そこを争う必要場合のポイントになる裁判例をご紹介いたします。
・ 裁判例(無効)
●横浜地判平成 18.9.15 日判例タイムズ 1236 号 301 頁
高齢の遺言者が作成した公正証書遺言に対して、相続人の一人が提起した遺言無効確認の訴えにおいて、本件遺言作成当時、遺言者はアルツハイマー型の認知症に罹患しており、恒常的な記憶障害、見当識障害等があり、簡単な会話に応答する程度であったこと、遺言の内容は多数の不動産その他の財産について複数の者に相続させるなど比較的複雑なものであったこと、公証人の読み聞かせに対する遺言者の答えは「はい」、「そのとおりで結構です」などの簡単な肯定の返事にとどまったことなどに照らし、遺言作成時点において、遺言者が本件遺言内容を理解し、判断する遺言能力を有したとは認められないとして、遺言が無効とされた事例
→これはまさに、アルツハイマーという認知のレベルが相当程度あるのですが、それに具体的な事情が複合的にとらえて、遺言能力がないもしていますね。
●東京地判平成 29.3.16 出典 D1-Law
自筆証書遺言について、「痴呆性高齢者の遺言能力の有無を検討するに当たっては、遺言者の痴呆の内容程度がいかなるものであったかという点のほか、遺言者が当該遺言をするに至った経緯、当該遺言作成時の状況を十分に考慮し、当該遺言の内容が複雑なもであるか、それとも単純なものであるかとの相関関係において、慎重に判断するべきである。」
またこまかいところでご相談されたい方、遺産分割の調停を考えられている方はご相談くださいませ。