ちょっと埼玉のほうへ行った話(第1話) | りんりん通信

りんりん通信

なんちゃってVOCALOIDマスターが綴る、リンちゃんとの暮らしが主題の時々日記。
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※2022年2月から当分の間、毎月15日・30日の2回更新となります
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時々は出かける努力をしなければならないと思うわけです。

しかしなかなか遠出が許されない生活ゆえ、どうしても近場になってしまいます。

今回も近距離。たいしたことができるわけでもなく。

 

この辺の事情を逆手にとって、残されていた課題をクリアしておくことにしました。

 

※2022年5月の記録をもとに記事に起こしています

 

 

●なぜか、ここからお話は始まる

 

ここのストーリー上では、「おれ」とリンちゃんたちは、同じ住宅に住んでいる

設定になっています。1階が「おれ」の部屋、2階にみんなの居住スペース。

スタジオや機材室・打ち合わせスペースなどもある多用途な建物ですが、

みんなで生活を共にするため、通常は「寮」と呼んでいます。

 

今回は、その「寮」でのシーンから始まります。

 

[おれ] 「アレ、本当にやるんですか?」

[そよかぜ] 「だって、運試しの賞品でしょう?」

 

 

[おれ] 「確かに、大吉引いたら…って話にはなってました

     おれが決めたわけではないんですけどね」

[そよかぜ] 「約束は守らないと、示しがつかないと思いますけど」

[おれ] 「みんなが勝手に決めた賞品で、おれ別に約束などはしてないんですが」

[そよかぜ] 「黙認したのなら同じことです ちゃんとやっておかないと」

[おれ] 「変なところきっちりしてますよねえ、無理言わないでくださいよ部長」

[そよかぜ] 「部長って呼ぶのやめてくださいっていつも言ってますよ

       マスターもいろいろお堅過ぎなんですよ もっと気楽に考えて…」

[おれ] 「高校生の女の子相手の活動だというのに、気軽にってのもですね

     部長もおおらかすぎといいますか」

[そよかぜ] 「方針的にも活動内容的にも、マスターは問題を起こしませんから

       安心して任せていられるんです 思うようにやって大丈夫ですよ

       …てか、部長って呼ばないでって言ったばかりなんですけど」

[おれ] 「呼びやすいので、つい…」

 

       

[おれ] 「リンちゃんやmikiさんとかならともかく… 美尋さんですよ

     契約上、おれの権限はそこまでないはずで」

[そよかぜ] 「メンバーを支えるサポート役として認めてるんでしょう

       それならみんなと同じ扱いをしても普通のことであって」

[おれ] 「なんとも好都合な拡大解釈… しかし、まあその通りなわけで

     美尋さんのご家族になんと説明すればいいのやら」

[そよかぜ] 「明音マネージャー経由で話を通してあります 2009年のご両親には

       こずえさんが確認して承諾が取れていますから問題ありません」

[おれ] 「相変わらず、手際がいいですねぇ」

 

 

[おれ] 「一番問題なのは… リンちゃんがなんと言うかですよ」

[そよかぜ] 「問題ないと思いますけど」

[おれ] 「美尋さんと二人っきりで出かけるって、そんなの言えますかいな」

[そよかぜ] 「あたしが伝えれば済むことです」

[おれ] 「そよかぜさんは理解できても、リンちゃんは気にするでしょう」

[そよかぜ] 「リンが…ですか? 嫉妬とかそういうのってことですか?

       マスター、リンと何か特別な思いでつながってるとかなんですか?」

[おれ] 「いっいやそういう話では… って、追求するの勘弁してくださいよシクシク」

[そよかぜ] 「ウフフ、ちょっとからかっただけですよ わかってますから

       だって、リンのことはあたし全部理解して決めてますからね

       今回も美尋ちゃんとの間で変な問題は起きたりしませんから」

[おれ] 「おっしゃる通りなんですが… 当事者のおれはやはり不安なわけで」

[そよかぜ] 「大丈夫ですからね リンの説得はあたしに任せてください

       そもそも上司権限を使えば、指示は絶対です 話はつけておきます」

 

 

[おれ] 「無理やりやって、大丈夫なんですかこれ」

[そよかぜ] 「大丈夫大丈夫! このあとリンがどういう反応をするか、

       あたしはその辺まで全て把握して進めてますからね」

[おれ] 「恐ろしい存在ですよね、部長って」

[そよかぜ] 「『プロジェクトマネージャー』って呼んでほしいんですけど、あたし」

[おれ] 「長すぎて呼びにくいんですよ、それ」

[そよかぜ] 「『PM』か、『プロマネ』って呼ぶようにって言いました」

[おれ] 「PMは"11PM"みたいで… あの時々エロシーン出てくるテレビ番組

     プロマネはPC98時代に触れた育成ゲームの略称に似てて、これもどうも…」

[そよかぜ] 「こんな時に昭和時代の話で無理やりボケなくていいですからね

       とにかく、みっひーちゃんと行ってきてください」

[おれ] 「そよかぜさんのお墨付きとはいえ… 本当に大丈夫なんですかこれ」

 

 

 

●そして、今回同行するのはこの人

 

すでに明かしているんですけどね。今回はこの人と一緒に出掛けます。

 

[美尋] 「あっあのぅ… そよかぜさんからメッセージ来たんですけど…

     本当にわたしついてっていいんですか?」

[おれ] 「美尋さん、去年大当たり引いたじゃないですか」

[美尋] 「確かに当てましたし、賞品の話も聞きましたけど… わたしですよ、わたし」

[おれ] 「おれが決めたわけでも何でもないですが、でも決められたことでしょう

     ちゃんと済ませないといけないことのようですよ」

 

 

[美尋] 「わたしは全然いいんですけど… でもそんな身分じゃないし」

[おれ] 「運試しに参加してるってことは、認められてるという意味だと思いますよ」

[美尋] 「ありがたいんですけど、許されることなんでしょうか」

[おれ] 「みんな許してるじゃないですか」

[美尋] 「そうなんでしょうけど、気になりますよー 特に…」

[リン] 「なによ、みっひー あたしに何か言いたそうな態度だけどっ!」

[美尋] 「だって、パー子のほうがガチで何か言いたそうじゃん」

[リン] 「別に んー、大当たりの賞品でしょ? ルールとして決められたことでしょ?」

[美尋] 「そうなんだけど… パー子的には、どういう考えなの?」

[リン] 「あたしが止めるような理由なんてないもん 行ってきなよ、あたしはいいから」

[美尋] 「本当にいいんっすかぁ?」

[リン] 「だからぁ、いいって言ってるよ!」

[おれ] 「リンちゃんのお許しももらえましたから、いいんじゃないですか?」

 

 

[おれ] 「それでは美尋さん、そろそろ…」

[リン] 「マスター! ちょっとちょっと」

[おれ] 「ギクッ! なっなんですかリンちゃん?」

[リン] 「運試しの時のルールだからね、みんな平等の条件で当てたんだからね、

     あたしはみっひーと行くこと許すけどっ! でもね、覚えておいてね

     こうやって素直になって認めた、あたしの気持ちのことっ!」

[おれ] 「やっやっぱり気にしてるじゃないですかガクガク」

[リン] 「気になんか… んー、そりゃあ気にしてないって言ったらウソになるけどっ!

     こういう時に疑ったり不安になったりしたら、なんか違うと思うの

     信じるべき人を信じるのが、一番大事なことだと思うからさぁ」

[おれ] 「たぶん嬉しいこと言ってくれてるんだと思うわけですが…

     おれはどう答えればいいんでしょうかねぇ」

[リン] 「そういうのあたしに直接聞かないのっ! マスターもあたしのこと信じててね

     そういう意味でおとなしく見送ってるんだから、わかってよ」

[おれ] 「のちのちフォローしますからね、リンちゃん」

[リン] 「はい、じゃ気をつけて行ってきてね 明日の昼間帰ってくるんでしょ?

     半日だけならおとなしくしてるからさ、ちゃんと半日で帰ってきてよ」

[おれ] 「気にされてうれしいやら恐ろしいやらガクガク」

 

 

 

出発します

 

リンちゃんに正式な許可ももらいましたし、これで安心して出かけられますねガクガク

 

[おれ] 「美尋さん、準備はよろしいですか? では、出発です」

[美尋] 「マスター、よろしくおねがいします

     …パー子になんか言われてたみたいですけど、大丈夫でした?」

[おれ] 「大丈夫ですよ …たぶん大丈夫なんじゃないでしょうかシクシク」

 

 

[美尋] 「それで、今日はどこへ行く予定なんですか?」

[おれ] 「明日の昼頃には帰宅予定です 半日で行ってこられる場所ということで…

     近場から選んで、埼玉県辺りを回ってこようと思うんです」

[美尋] 「近場って言っても、埼玉ならそこそこ遠い気がするんですけど」

 

 

 

●埼玉県へと向かいます

 

たまには遠くへ行きたいです。埼玉県では近すぎです。

しかし、今は長旅をすることなど許されない身。

さらに、今日はリンちゃんとの約束により半日程度の行程にとどめないといけません。

この程度の距離で我慢するしかなさそうです。

 

[おれ] 「深夜出発・昼頃帰着という予定ですから、今日はきついと思いますが…

     いつもこういうスケジュールで動くので、辛抱してくださいね」

[美尋] 「そよかぜさんから聞いてますから大丈夫です! お昼寝してきました!」

 

 

[おれ] 「それでは、これもそよかぜさんから説明があったかもしれませんが…

     うちの活動として、VOCALOID名物件の訪問記録というのがありまして」

[美尋] 「聞きました! お店とかアパートとかを回るっていうのですよね?」

[おれ] 「それです 旅の建前がそこですので、今回も一応立ち寄らないといけません

     で、早速一つ目の物件に着いたので、記録していきましょう」

[美尋] 「これがそうなんですか? ただのアパートみたいですけど」

 

 

[おれ] 「見た目はどこにでもあるアパートかもしれませんが、大切なのは名称です」

[美尋] 「あ、パー子の名前のとこなんですね、ここ」

 

 

[おれ] 「通り沿いに連続して複数棟が並んで建っています AからDまであるようです」

[美尋] 「珍しいんですか?」

[おれ] 「4棟という規模のところは多くないのではないでしょうか」

 

 

[おれ] 「現在入居者募集中です」

[美尋] 「ここに住んでみたらどうですか?」

[おれ] 「ここ埼玉県所沢市です 横浜市民には遠すぎますよ」

 

 

[美尋] 「アパートの記録できましたね!

     で、まだどこか回るんですよね? どこ行くんですか?」

[おれ] 「物件調査というのは、ひとまず中断です もうちょっと気分の晴れそうなのを…

     まあ、おれが好んでいくところですから、美尋さんには退屈かもしれませんが」

[美尋] 「パー子も言ってました たぶん、普段行かないようなところ連れてかれるよって

     なんか、眺めがいいところとか行くんじゃないかって話でしたけど」

[おれ] 「当然のこととはいえ、リンちゃんはよく把握してますねぇ」

 

 

[美尋] 「マスターさんは、元々自然の中を旅してたって聞きましたよ パー子から」

[おれ] 「都会に暮らしているせいか、時々喧騒に疲れてしまいましてね

     仕事で嫌な思いをしたときとか、逃げ込むように山道を巡っていましたよ」

[美尋] 「なるほどですねー わたしも森とか山の眺めとか好きですよ

     家族で旅行したりとか何度かキャンプ行ったことがあるくらいですけど」

[おれ] 「普通の方は、ごく普通に行ける範囲の自然と触れ合うくらいが最適です

     おれの場合はそれよりハードな所へ行っていたと思うんですが、

     これは万人受けする旅ではなく… というか、限られた人だけでいいんです

     誰もが軽い気持ちで行ったら、うち数%はあの世行きの可能性があります」

[美尋] 「なんかオソロシイ話ですね」

 

 

[おれ] 「ところで… こんな外出に同行なんて、全然面白くないんじゃないですか?」

[美尋] 「まだアパート見ただけですから、判断するのは早いと思うんですけど…

     正直言って、わたしが楽しいと思える何かと出会えるかは、わかんないですね」

[おれ] 「それはごもっともですねぇシクシク」

[美尋] 「でも… わたしが知らない時間を過ごせることは間違いないみたいです

     そういう意味での期待はあります パー子は楽しんでるんですよね?」

[おれ] 「まあ、リンちゃんはたぶん特殊な判断基準を持ってる子ですので…」

[美尋] 「あの子、生き生きしてるんですよ その理由が知りたくて

     たぶん、この世界に触れられたからじゃないかと思ってるんです

     わたしも、そんなパー子の生き方を少しだけでも体験したいと考えてて」

[おれ] 「気に入っていただける自信はないのですが…

     少しでも美尋さんの人生の材料にしていただけたら、うれしく思いますね」

 

 

[美尋] 「うわぁ、もうすっかり山の中じゃないですか

     こんな真っ暗な山道通るの、初めてだと思います」

[おれ] 「なんのなんの、これからさらに深い山奥へと入っていくんですよ」

 

 

[美尋] 「こんな山の中、しかも夜中 誰も来ないんじゃないんですか? こんなとこ」

[おれ] 「でも街灯が点いてますよ ということは、まだ家があるという意味です」

[美尋] 「だったら安心… って、全然安心できないですよ、真っ暗すぎて!」

[おれ] 「人工の明かりがあるだけで、心強いではないですか」

[美尋] 「そっ、そういう基準なんですか?」

 

 

[おれ] 「で、街灯がなくなりましたね この先にはもう人家はないということでしょう」

[美尋] 「今度こそ、誰もいないって意味じゃないんですか?」

[おれ] 「嬉しいですねぇ、夜の山を独り占めではないですか」

[美尋] 「なに満足しちゃってるんですかマスターさん!

     パー子、こんな旅してたのか… ちょっと甘く見てました、わたし」

[おれ] 「美尋さんも大自然の山々を楽しめるようになりますって たぶん」

 

 

 

第1話は、こんなところで終了。

美尋さんは、深夜の山奥でいったいどうなってしまうのでしょうか。

続きは次回更新で。なるべく頑張りますけど、ちょっとお時間いただくかも。

 

 

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