今回は、Netflixで「ミッシング」を鑑賞致しましたニコニコ



森下沙織里(石原さとみ)・豊(青木崇高)夫妻の一人娘、美羽(有田麗未)が行方不明になって、3ヶ月が過ぎた。

捜査に進展はなく、世間の関心も薄れて行く中、夫と喧嘩の絶えない沙織里にとっては、取材を続けてくれる地元テレビ局の砂田(中村倫也)だけが、唯一頼れる人物となっていた。

しかし、視聴率を優先する局上層部の意向で、砂田の意図しない放送内容となることも多く、沙織里たちはネット上で誹謗中傷にさらされ続けていた。

そんな中、砂田の取材中に警察から「美羽が保護された」と知らせを受けた沙織里と豊は、急いで警察署に駆け付けるが…。



この映画のように子供が行方不明になったとか、何の落ち度もないのに異常者に殺されたとか、飲酒運転の車に轢き殺されたとか、親のちょっとした過失で死に至ったとか、そういうニュースを聞くたびに、その親の気持ちを凄く凄く考えてしまいます。

でも幸いにして身近にそういう人はいないので、実際にこの先、彼らがどのような日々を送るのかは想像も及ばないんですが、本作はそれを限りなくリアルに描いた映画だと思いました。



事件当事者に向けられる、赤の他人または完全なる部外者あるいは外野からの、様々な悪意、時に鬼畜の所業に慄きます。

更に救いのないことに、言ってしまいますが、この映画では最後まで美羽ちゃんは発見されません。

生きているのか、死んでいるのか、どこでどうしているのか、誰にも分からないままです。



美羽ちゃんは見付かりませんが、沙織里が少しずつ心を取り戻して行く過程が描かれます。

同じように行方不明になった子供のニュースを見て、美羽ちゃんの事件と関連付けてしまう沙織里のエピソードは、その結末を含め、特に印象的でした。

部屋の壁に映った虹に気付くシーンや、子供の見守りボランティアを始めるシーンも、沙織里の心の再生を感じられます。



沙織里を演じた石原さとみさん、素晴らしかったです。

ほぼノーメイク、髪はパサパサ、唇はカサカサ。

そんな見た目も挑戦だったと思いますが、何より錯乱気味のと言うか、なりふり構わない演技が、怖いほどでした。

でも、こんなの、おかしくもなりますよね。



豊を演じた、青木崇高さんも良かったです。

動の沙織里に対して、常に抑えた静の演技でしたが、それが逆にリアルなんですよ。

何かにつけ、沙織里が自分と豊の温度差を非難するのですが、豊が言う通り「2人とも感情的になっても仕方ない」し、どっちかが興奮していると、もう片方が冷静になる現象は普通にあることですからね。

それに、冷静だからと言って豊が何とも思っていないわけはもちろんなくて、色々と考えて行動しているのです。

ただ、そういったすれ違いが原因で、離婚してしまう夫婦も現実には多いんだろうなと思います。



この作品の中で、私が一番心を打たれたセリフが、砂田が上司に言い放つ「考えすぎるくらい考えましょうよ!」でした。

これは本当にその通りで、何事も簡単に出来てしまうこの世の中、考えすぎるくらいが丁度良いと私も常々思っています。

その一言を書き込む前に、その上手い話に乗る前に、ちょっと考える時間を持った方がいい。

でないと、軽い気持ちで取ったその行動で、一生を棒に振ることもありますからね。

今や、昔やっていたイジメが原因で、築き上げた地位を失うことだってありますから。



とにかく一度、自分の目で観て、自分の頭で、いろんなことを考えてみて欲しい作品です。

素晴らしかったです。



kagamiko的評価

★★★★★(5点)