※注 「鏡リュウジ公式サイト」運営スタッフが書いています。

 

2015725日(土)に【T's渋谷フラッグカンファレンスセンターRoom8H】で開催された、株式会社ヴィジョナリー・カンパニー&株式会社アルカノン・セミナーズ共催、『鏡リュウジ氏が語る「悪魔」のカード講座』にスタッフも参加してきました!

 

「タロットに惹かれたときのドキドキ感ワクワク感を一言で言ってしまうと、タロットが「魔」的なものに思えたから。」と、語る鏡リュウジ氏。この「魔」的なシンボルが、これまでの歴史のなかでどのように解釈されてきたのかを講座の中で辿っていきました。

 

現存する最古のタロット「ヴィスコンティ=スフォルザ版」(復刻版)には、どのような「悪魔」が描かれているのでしょうか?


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(画像:ヴィスコンティ(塔と悪魔のカード以外)

 
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(画像:ヴィスコンティ(塔と悪魔のカード)

 

「よく見比べていただきたいのですが、絵のタッチが全然違いますよね?」と鏡リュウジ氏。それもそのはず、「塔」と「悪魔」のカードは現代の画家が描いたものだそうです。では、なぜ現代の画家が描いたのか? 

 

それは、15世紀ルネサンスのころのオリジナルには、「塔」と「悪魔」のカードが“なかった”から……。しかも驚くことに、現存するどのセットからも「塔」と「悪魔」のカードは残っていないそうです。

 

「悪魔」のカードは最初からなかったのか?あるいは偶然にも、現存するどのセットからも失われてしまっただけなのか?いつ、どんなふうにタロットのなかに「悪魔」が組み込まれてきたのか。西洋の伝統の中における「悪魔」のモチーフがどのように変容し何を表してきたのか。

 

ミステリアスな「悪魔」のカード。15世紀タロットの草創期には存在しなかった「悪魔」のカード。その後の大衆化にあわせて「悪魔」のカードはそれまでの図像の伝統を継承しながらタロットの中に滑り込み、18世紀後半には「宇宙の中の大いなる力の象徴」としてコズミックな意味を与えられました。

 

――この頃はまだ、占いが好きな私たちに馴染みのある「あの人と結婚できる?」なんて占っていなかったのです!

 

しかし20世紀後半に入ると、現在のタロット占いの基礎を築いたイーデングレイによって「日常的、かつ心理的な経験の象徴」への変貌を遂げていきました。この「心理学化」に大きな影響を与えたのがかの有名なスイスの精神医学者カール・ユング氏。

 

――この変化が「あの人と結婚できる?」と占うにようになる基盤を築くことになったのですね。

 

同じく20世紀後半、作者たちの世界観が明瞭にあらわれた、多くのユニークでオリジナルなタロットがつくられていくようになりました。

 

例えば、フェミニスト視点からのタロット。とくに注目すべきなのは「マザーピース・ラウンド・タロット(1981年)」という円形のタロット。その中の「悪魔」は経済と権力によって人々が束縛され、支配されている様子が描かれています。

 

もうひとつ例として挙げられたのが、21世紀の現代に作られた「ゲイ・タロット」。「悪魔」に相当するNo.15のカードのタイトルは「Self Hatred(自己嫌悪)」。異性愛のカップルが築く幸福な生活が描写されている絵画を一人の男が悲しく見つめる後ろ姿が描かれています。

 

以上のように、講座ではタロットそのものと「悪魔」カードの歴史や解釈が宗教や時代背景等様々な角度により解説されました。西洋において、悪魔はもともと天使だったという驚きの話やキリスト教における悪魔の存在など、語りつくせないほど中身のギッシリ詰まった講座でした。

 

従来、「怖い」「説明しづらい」「ギョッ!とする」カードだと思われてきた「悪魔」のカード。「悪魔」のカードを、絶対的な悪ではなく「自由な形で悪魔を表現してもらえたら」と鏡リュウジ氏。私たちが「悪」と向きあうときの、重要なヒントになりそうですね。

 

あなたにもタロットカードの絵の制作は可能ですよ!

あなたは「悪魔」カードをどのように描きますか?

また、もし、あなたなら、「悪魔」のカードをどのように読み解きますか?

 

「悪魔」のカードについて、もっと知りたいかたはこちら↓
http://goo.gl/ITRucu
 

(夜間飛行 鏡リュウジメルマガ Vol008プラネタリー夜話「占いの世界2<その2 悪魔のいる美術>ほか」)