最近では天気予報の精度も上がってきて,スマホなどを使うと簡単に様々な気象データを見ることができます。

 そんなこともあってか,空を見上げて天気を予想するということは少なくなって気なのかもしれません。

 「カエルが鳴くと雨が降る」「ツバメが低く空を飛ぶと雨が降る」など天気に関することわざを観天望気といいます。

 授業では「朝霧は晴れる」ということわざを取り上げて,霧についての学習をおこないました。

 「霧って何だろう?」という質問をすると「水蒸気」という答えが返ってきました。ほとんどみんながそうだと答えてくれました。

 間違えであるとはいえませんが,教科書には「地表付近で空気中の水蒸気が冷えて水滴になる現象」と書かれています。

 水蒸気に関するよくある誤概念

 「水は100℃で蒸発して水蒸気になる」

→水は100℃で沸騰しますが,水蒸気になるのは100℃とは限らない。だって風呂上りに髪の毛についた水が蒸発するのは100℃ではないですよね。

 「お風呂で湯船から立ち上る白い煙は水蒸気である」

→あれは湯気です。水蒸気が冷えて水滴になったものです。

 

さて,霧はどんな時にできるのでしょうか?

 寒い日   雨が降った後  晴れた日

いろいろな条件を挙げてくれました。日ごろ霧が発生しているときの情景をどれだけ観察しているでしょうか?

昔の日本人はこういう自然現象を観察するのが得意だったようです。それは百人一首をみるとよくわかります。

 

村雨(むらさめ)の 露もまだひぬ 槇(まき)の葉に
   霧立ちのぼる 秋の夕暮れ

              寂蓮法師(87番) 『新古今集』秋・491

(解釈)秋の日の夕方,にわか雨が上がり,雨の露が乾かぬうちに,山の木々から霧が立ち上っている

  たぶん,このあとはいい天気になるでしょうね。

 

朝ぼらけ 宇治(うぢ)の川霧(かはぎり) たえだえに
     あらはれわたる 瀬々(せぜ)の網代木(あじろぎ)
              権中納言定頼(64番) 『千載集』冬・419

(解釈)明け方 宇治の川にいくと霧がでていて しばらくするとだんだん霧が晴れて 瀬々の網代木(川に打たれた杭)が見えてきた   って感じかな。この日もきっといい天気になりような情景が目に浮かびます。

 

少ない言葉でこれだけ情景を歌い上げるとは!すごいな~

さて,ここから分かる霧の発生条件は

 夕方,もしくは明け方 雨上がりや川のように空気が湿っている条件の場所で,晴れたときに霧が発生する。

 そういうことが読み取れると思います。さて,ではこの条件が科学的に正しいといえるのかどうか,授業で調べていきましょう。