昨日に引き続き,東京工業大学の過去問を取り上げてみる。
つぎの記述のうち,正しいものはどれか。なお,正解は1つまたは2つある。
1. 0℃の氷水中の氷がすべて溶けて0℃の水になっても,温度が変わらないので氷水と外部との間のエネルギーのやり取りはない。
2.水に食塩を溶かすと凝固点が降下するのは,食塩の溶解が吸熱反応であることが原因である。
3.断熱容器中で,0℃の食塩水中に0℃の氷を入れると,氷の体積は増える。
4.食塩水中にレーザー光を通すと,食塩水中の光の通路が輝いて見える。
5.水に対する水酸化ナトリウムの溶解熱は負である。
6.食塩が溶けきれず沈殿している飽和食塩水では,沈殿している食塩が溶液に溶け出す速さと,溶液から食塩が析出する速さは等しい。
(解答)
これは,溶解平衡について素直に書いてある6のみが正解です。
わかりやすい誤り
1.状態変化でも熱のやり取りをするのはどの教科書でも書いてありますね。
(結論の前に理由が書いてあるものは怪しいと思って見たほうがいいです)
4.チンダル現象はコロイド溶液に関する話ですね。食塩水は通常の水溶液であり,
コロイド溶液ではありません。
(その他)
5.これはひとまず暗記するしかないような…。
2.については,凝固点降下についての復習です。正誤判定は楽でしょう。
凝固点降下度は溶質の質量モル濃度しか関係がないですね。発熱・吸熱は関係なし。
粒子は基本的に散らばりたいので,先に氷を作ってしまうと水の量が減少し,
食塩の濃度が増加してしまいます。なので,そうならないようにするため凍りにくくなります。
3.も同じように考えて,氷が増加するよりも水が増加した方が食塩にとって都合がよい。