糸リフトの仕上がりは、
引き上げる力より「支える力」で変わる。
こんにちは。KAGA CLINIC院長、加賀裕基です。
糸リフトというと、「たるんだ皮膚や脂肪を上に引き上げる治療」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
もちろん、下垂した組織を適切な位置に移動させることは、糸リフトの重要な役割です。しかし、私が糸リフトを行う際に大切にしているのは、「どれだけ引き上げるか」だけではなく、「引き上げた組織をいかに安定させるか」という考え方です💡
今回は、そのために私が併用することの多い「Multi bi-directional cog thread(多方向性コグスレッド)」について解説します。
たるみの原因は、組織が下がることだけではない⏳
例えば、鏡を見たとき、朝よりも夕方の方が顔のたるみやくぼみが目立つと感じたことはありませんか?🪞 また、ベッドに横になった状態では目立たなかったたるみが、立ち上がると強調されることがあります。
その理由の一つが「重力」です。
私たちの顔の皮膚や脂肪などの軟部組織には、日常的に重力による下向きの力がかかっています。さらに、笑う、話す、口を動かすといった表情筋の動きによっても、顔の組織は繰り返し移動しています。
つまり、顔のたるみやシワを考えるうえでは、組織が今どこにあるかだけでなく、日常生活でどのような力が加わり、どの程度動いてしまうのかにも目を向ける必要があると考えています。
「引き上げる糸」と「動きを抑える糸」は役割が異なる⚖️
一般的なリフティングスレッドは、下垂した組織を引き上げ、適切な位置に移動させることを主な目的としています。
一方、私が補助的に使用するMulti bi-directional cog threadは、組織を大きく引き上げて移動させるというよりも、複数の方向から組織を捉え、過剰な動きを抑えることを重視した糸です。
簡単に言えば、
「引き上げる糸」で位置を整え、「支える糸」でその位置を安定させる。
この2つの役割を組み合わせるという考え方です。
どれだけきれいに組織を引き上げても、日常的な重力や表情の動きによって組織が移動すれば、時間とともに変化が生じる可能性があります。そこで、Multi bi-directional cog threadを併用し、組織の過剰な可動性を抑えることで、引き上げた状態をより安定させることを目指しています。
💡 私が考える
Multi bi-directional cog threadの3つの役割
引き上げた組織の「戻り」を抑える⚓
糸リフトやたるみ治療によって組織を適切な位置へ移動させても、その後も重力や表情による力は加わり続けます。私は、こうした日常的な荷重による組織の「戻り」をできるだけ抑える目的で、この糸を併用することがあります。
これは、単純に引き上げる力を強くするという考え方とは異なります。強く引っ張るのではなく、動きすぎないように支える。この発想が、自然な仕上がりを考えるうえで重要だと感じています。
「引きつれ」や「よれ」を防ぐことを目指す🛡️
糸リフトで気になるトラブルの一つが、皮膚の引きつれや不自然なよれです。これらは、組織の一部分に過剰な力が集中することも原因の一つです。特定の部分だけが極端に移動すると、周囲との間に不自然な段差や凹凸が生じることがあります。
そこで、組織を複数の方向から支え、局所的な動きや力の集中を分散させることで、引きつれやよれのリスクを軽減できる可能性があると考えています。
※ただし、糸を追加すれば必ず防げるというものではありません。挿入位置や深さ、組織の状態を見極めることが前提となります。
加齢によって弾力が低下した組織を補助する🌿
私が特にこのタイプの糸の併用を検討するのは、皮膚や軟部組織の弾力が低下している患者様です。弾力が低下した組織では引きつれやよれとして表面化しやすくなることがあります。
そのため、比較的年齢層の高い患者様や、組織の緩みが強い患者様では、単純に引き上げるだけでなく、組織をどのように支えるかをより重視しています。
※もちろん、年齢だけで治療方法を決めるわけではありません。皮膚の厚み、脂肪の量、組織の弾力、表情による動きなどを総合的に評価して判断しています。
糸リフトは「強く引き上げれば良い」わけではない
私は、糸リフトの仕上がりを決めるのは、単純な引き上げの強さだけではないと考えています。むしろ、過剰に引き上げることによって、頬の不自然な膨らみや引きつれが生じる場合もあります。
大切なのは、どの組織を、どの方向に、どの程度移動させ、どのように安定させるのか。そのすべてを考慮して治療を組み立てることです。
顔の組織には自然な動きが必要です。必要な動きは残しながら、不必要な組織の移動を抑える。これが私の考える理想的な補助スレッドの使い方です😌
まとめ|引き上げる技術と、支える技術
糸リフトは、単にたるみを上に持ち上げるだけの治療ではありません。
引き上げた組織が日常生活の中でどのように動くのか、重力や表情による負荷をどのように受けるのかまで考えることが重要だと思っています。
「組織を動かす技術」と「組織の動きをコントロールする技術」。
この2つを適切に組み合わせることで、より自然で安定した仕上がりを目指しています✨
KAGA CLINICでは、患者様一人ひとりの組織の状態を見極めながら、必要な治療を組み合わせてご提案しています。
※糸リフトの効果や持続性には個人差があり、補助スレッドの併用による長期的な後戻り防止や合併症予防についても、今後さらなる臨床的検証が必要です。
※糸リフトには腫れ、内出血、痛み、引きつれ、凹凸、左右差、感染などのリスクがあります。
MS
