皆さんこんにちは。
本当のような嘘ブログです。
今回のテーマは「目を皿にする」です。
これは探しものをする時や、驚いた時に目を見開いた状態を比喩したものです。
が、目を見開いた状態を表すなら、別に皿じゃなくても良いと感じてしまうのは僕だけでしょうか?
例えば、お茶碗でも良いと思うのです。
「目をお茶碗にして探す」
「驚いて目がお茶碗になった」
なんか可愛いくなりましたね。
脱線してしまいましたが、「目を皿にする」というのは、実は「皿」ではなく、「更」であるというのは、あまり知られていません。
「目を更にする」というのは、
・先入観を持たずに物を見る、または探す。
・今までに増して。
という意味になり、「見る、探す、驚く」等が付きます。
これは、昔から使われている慣用句になります。
では、なぜ「更」が「皿」になったのかというと、
江戸時代に「幇間(ほうかん)」といわれる職業がありました。
この「幇間」とは遊郭や座敷で芸を披露し舞妓や芸者の為に前座みたいな事をしたり、場をつないだりする者の事を言います。
現代でいう芸人に近い存在です。
最初はオマケ程度の存在だった幇間が、次第に注目され出して、幇間目当てに来るお客さんも現れだしました。
特に鉄板だった芸が、襖(ふすま)や屏風(びょうぶ)を用いて一人二役の芝居や七変化などをする芸で、
その中でも特にウケたのは
『「目を更にして探してみろぃ」
と言う言葉に対して、
「分かりやした!目を皿にします」
と言って目に皿を当てて出てくる。』
というギャクが一躍大ヒットします。
このギャグが「(※)見立て番付」に選ばれることになるのです。
(※)見立て番付とは、相撲番付のパロディ版で、現代風に言えば「なんでもランキング」になり、色々な物をランキングにしていました。
その中に流行語大賞もありました。
この見立て番付が、庶民の間でとても流行っていたので、「目を皿にして探す」というギャグが浸透していくのでした。
そして、この幇間という職業が、現代の芸人と違うのは、ギャグや芸を誰かが作ったら、そのギャグは花柳界(かりゅうかい)全体で共有していたのです。
(花柳界とはお座敷等全体の事をそう呼びます)
なので、情報共有で重宝していたのが花柳界内でのつながりを主として、その他に町飛脚、行商人があり、その中に見立て番付もありました。
タイムラグはあれど、流行っているギャクや芸ならば全国の座敷で披露されるのは至極当然のことです。
全国の座敷に広まり浸透したものは、伝統芸へと変わり、我々庶民の生活の中にも浸透していくのでした。
そして浸透していけばいくほど、元々の「目を更にする」という言葉を知る者は時代とともに少なくなってしまったのです。
こうして現代になり「目を更にする」は「目を皿にする」に完全に置き換えられる事になります。
言葉の成り立ちに隠されたこのような歴史の中には意図してなかったとしても、違うことが真実となってしまったものもあったのでした。
もしかしたら、ごく身近にあるものが実は元々は違ったものだったというものがあるのかもしれませんね。
という嘘です。