⚪︎2024年7月6日(土) マチネ(14:00-)  於:新国立劇場オペラ・パレス
プッチーニ「トスカ(Tosca) 」(全3幕イタリア語上演/日本語英語字幕付き)


新国立劇場のオペラ、2023-2024年シーズンを締めくくるのはプッチーニの人気オペラ「トスカ」です
新国立劇場では9回目の公演、最近では3年ごとの再演となっていますが、演出は2000年の初演時からアントネッロ・マダウ=ディアツによるプロダクションが変わらす用いられているようで、まさに定番化しています。
個人的にも好きな演目で、実演では演奏会形式や抜粋版を含めて5回目、中でも昨年9月のローマ歌劇場来日公演でのソニア・ヨンチェヴァ、ヴィットリオ・グリゴーロの熱演が印象的でした

本演目でもっとも際立ったキャラクターのスカルピアを演じる予定だったニカラズ・ラグヴィラーヴァが健康上の理由により降板ということでちょっと残念ですが、代役の青山貴さんも中々の実力者のようですし、トスカに去年3月、東京春祭でムーティが振った「仮面舞踏会」でアメーリアを演じたジョイス・エル=コーリーがキャスティングされているということで、注目して観に行ってまいりました

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⚪︎キャスト等:
指揮 マウリツィオ・ベニーニ(Maurizio Benini)
演出 アントネッロ・マダウ=ディアツ(Antonello Madau-Diaz)

トスカ(S) ジョイス・エル=コーリー(Joyce El-Khoury)
カヴァラドッシ(T) テオドール・イリンカイ(Teodor Ilincai)
スカルピア(Br) 青山貴
アンジェロッティ(B) 妻屋秀和
スポレッタ(T) 糸賀修平
シャルローネ(B) 大塚博章
堂守(B.Br) 志村文彦
看守(B.Br) 龍進一郎
羊飼い(S) 前川依子

合唱指揮 三澤洋史
合唱 新国立劇場合唱団
児童合唱 TOKYO FM少年合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団


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⚪︎感想:
うーん、期待値が高かっただけに、微妙なところはありました💦

演出はさすが定番になっているだけに、気を衒ったところのない、違和感のない舞台設定、美術、衣装で、1幕のサンタンドレア・デッラ・ヴァッレ教会や3幕のサンタンジェロ城なども結構手が込んでいましたし、 19c初期のイタリア(知りませんが😅)っぽい感じが良く出たように思います。
なので、安心して芝居に没頭できました

肝心のキャストですが、まずタイトル・ロールのジョイス・エル=コーリー、上述の「仮面舞踏会」のアメーリアで聞いたはずなのですが、1幕からあれ?こんな声だったっけ?という印象😅声質がやや硬く、ビブラートの振幅は大きめ、声は前に飛んではいるのですが、響きが浅めで高音になるとちょっとシャカシャカした感じに聞こえてしまい、もちろん下手ではないのですが、まあ要するに好みの声ではありませんでした😅
と思って上記「仮面舞踏会」での自分のブログを読み返すと「好みの声ではない」と書いてありました演技面でも少しあっさり目で、スカルピアを刺殺する場面やラスト、カヴァラドッシが死んでいることに気づいて慟哭するところは、もう少し感情を爆発させて欲しかったところ。容姿、スタイル面ではトスカのイメージがしっくりくるだけに勿体無いところです

対するカヴァラドッシのイリンカイは、まあまあの出来😅圧倒的声量という訳ではないですが、役柄に相応しい力強いスピント系のテノールでしたが、もう少し高音が突き抜けた感じがあると良かったかなという印象です。
スカルピアの青山貴さんは、歌唱は全く問題なく期待以上に良かったと思いますが、スカルピアとしては真面目でやや線が細く、アクと押し出しの点で、少し迫力不足かなという感じでも頑張っていたと思います
アンジェロッティの妻屋さんは相変わらずお上手なのですが、ボロボロの衣装とあのモジャモジャ頭のせいもあってか、青年革命家というよりは浮浪者に見えてしまいました

ということでケチばかりつけてしまいましたが😅元々のお話や音楽がよく出来ていて、演出も良いのでそこそこ楽しめました。ベニーニと東京フィルの演奏も良かったと思います。今日の東京は夕方から激しい雷雨、3幕中、その雷音が劇場内にも響いてきて、不思議な効果音となっていたのがご愛嬌と言ったところ💦
今日は初日でしたが、人気演目だけに、客入りはまずまず残り4公演ありますが、今日の出来を踏まえて、果たしてこの後の入りはどうなるか気になるところです

⚪︎評価:☆☆☆★