⚪︎2024年6月22日(土) マチネ(15:00-) 英国ロイヤル・オペラ 2024年日本公演
 ヴェルディ「リゴレット(RIGOLETTO)」  於:神奈川県民ホール


巨匠アントニオ・パッパーノの任期最後を飾るアジア・ツアーの一環となる英国ロイヤルオペラハウスの来日公演、演目はヴェルディの人気作品「リゴレット」とプッチーニの大作「トゥーランドット」。「リゴレット」を観るのは昨年5月フロンターリが新国立でタイトルロールを演じた公演以来。もともと好きな演目であることもさることながら、なんと言っても注目は、今やMETの常連、世界の歌劇場で引っ張りだこの歌姫、ネイディーン・シエラの初来日

お引越し公演ということに加えて円安も相まって馬鹿高い設定のチケット代をものともせず(実際は大いに悩みながら😅)参戦を決定

神奈川県民ホールとNHKホールで2回ずつの公演日程でしたが、馬鹿でかすぎるホールのNHKは好きになれず、ちょっと遠いですがこちらを選択して横浜は山下町まで遠征?に行って参りました

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METライブビューイングでは、これまで「椿姫」と「ロミオとジュリエット」でネイディーン・シエラの歌声に陶酔させられてきましたが😅生の舞台ではどんな風に感じるのか、注目です

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⚪︎キャスト等:
指揮 アントニオ・パッパーノ(Antonio Pappano)
演出 オリヴァー・ミアーズ(Oliver Mears)

リゴレット(Br) エティエンヌ・デュピュイ(Etienne Dupuis)
ジルダ(S) ネイディーン・シエラ(Nadine Sierra)
マントヴァ公爵(T) ハヴィエル・カマレナ(Javier Camarena)
スパラフチーレ(B) アレクサンデル・コペツィ(Alexander Kopeczi)
マッダレーナ(Ms) アンヌ・マリー・スタンリー(Anne Marie Stanley)
モンテローネ伯爵(B) エリック・グリーン(Eric Greene)
ジョヴァンナ(Ms) ヴィーナ・アカマ=マキア(Veena Akama-Maika)
マルッロ(Br) ヨーゼフ・ジョンミン・アン(Josef Jeongmeen Ahn)


ロイヤル・オペラ合唱団
ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

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⚪︎感想:
とても良かったと思います
とにかく主役の二人、リゴレットとジルダが素晴らしかったです

まずは初めて訪れた神奈川県民ホールですが、定員2490名余とNHKホールほどではないものの、かなりの規模。作りはNHKホールを模したということでコンサートホール型、やっぱりちょっと空間が広すぎて、音響的にはどうかなという感じがしました💦
築50年近いということで古さも感じましたが、2階以上のロビーからはみなとみらい地区が見下ろせるところはgoodでしたただ、2025年からは無期限休館予定とのことです。





さて、肝心の公演内容ですが、まず演出については、とても美しくわかりやすいものだったと思います冒頭のカラヴァッジョの「聖マタイの殉教」をモチーフにしたという活人画が目を引きましたが、1幕はマントヴァ侯爵の館の広間に飾られた?大きなティッツァーノ風の裸体画(「ウルビーノのヴィーナス」?)が、次のシーンでは中空に設けられたジルダの寝室になり、ジルダが同じようなポーズでベッドに横になり、2幕ではそれがスパラフチーレの宿屋の2階の寝室となってマントヴァ公爵とマッダレーナの情事の場に、3幕ではそれらが取っ払われて、背景が大きな川になる、といったように、シンプルながら良く考えられたセンスのある仕掛けで、中々面白かったです。


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キャストに関しては、まずジルダのネイディーン・シエラが期待どおりでした
とにかくこの人は技術が安定していて、低音から高音までムラなくスムース、滑らかにあのしっとりした声を聴かせてくれるので、本当に耳に心地良かったです響きが良いので微弱音でもしっかり3階席まで聞こえましたし、声量、表現力とも素晴らしく、さすがMETのデビューがこの役だったというのも納得の出来でした彼女の歌はどれも良かったですが、マントヴァ公爵との二重唱「あなたは私の心の太陽だ」のカデンツァ風のラスト、続く「麗しい人の名は」、終幕、息も絶え絶えのジルダとリゴレットの二重唱などが印象に残りました。彼女の場合はそれに加えて演技力も素晴らしいので、美貌と容姿も相まってこういった悲劇のヒロイン役はまさにうってつけです😅

ついでエティエンヌ・デュピュイ、リゴレットにしては若くてハンサムな感じがしましたが😅豊かな声量とやや軽めながら中々の美声で各場面をリードし、見事なタイトル・ロールぶりだったと思います。特に2幕、ララ、ララと登場して以降の「悪魔め、鬼め」、ついでジルダとの二重唱「いつも日曜日に教会で~娘よ、お泣き」のところは父親としての心情が胸に迫りました

マントヴァ公爵のハヴィエル・カマレナは、冒頭は初日ということで少し安全運転気味?あるいは本調子でないのか1幕は少し声の出が良くなかった様な気もしました(高音で少し声が荒れていたような😅)しかし、輝きとツヤのある華やかな声はさすがで、徐々に調子を出し、3幕「女心の歌」など聴かせどころはしっかりと決めてくれました

スパラフチーレのアレクサンデル・コぺツィは不気味さ満点、マッダレーナのアンヌ・マリー・スタンリーも妖しさ十分で良かったと思います。

御大パッパーノの振るロイヤル・オペラハウス管弦楽団は、冒頭こそ金管がやや不安定な気もしましたが、、ケレン味たっぷりの演奏でドラマの盛り上げに多大なる貢献さすがでした

ということで非常に満足のいく公演内容で、終演時カーテンコールでのお客さんの反応も良かったのですが、唯一の問題はやはり高すぎるチケット代でしょうか😅諸経費の上昇に円安が相俟って、主催者側としてもやむを得ない状況だったのは、Webサイト上に理解と支援を求める声明?が載っていることからも良くわかるのですが...
今日、相方と陣取ったのは3階席後方、2番めに安いD席ですがそれでも32,000円!二人で64,000円これに遠征費が加わりますからかなり痛い出費ですしかも3階席のちょっと前方に行くとB席48,000円、A席62,000円!お客さんにコスパが悪いと思われたか、3階席の前方はガラガラでした

1階席、2階席がどうだったかわかりませんが、3階席を見た限りでは、これではチケット代で経費を回収するどころか逆効果では、と思うくらいの状況で、料金そのものだけでなく、SからDのシート割りにも疑問の湧く設定でした

パフォーマンスが良かっただけにもったいない話で、これ以降の公演の客席の入りがやや心配ではあります😟本シリーズ、6月29日には、「トゥーランドット」を東京文化会館で観劇予定ですが、ソンドラ・ラドヴァノスキーの降板もあり、こちらも客入りがどうなるか気になるところですが、足場が横浜よりは良いので、盛り上がることを期待したいと思います


⚪︎評価:☆☆☆☆★