⚪︎2024年3月30日(土) 東京春祭ワーグナー・シリーズvol.15 「トリスタンとイゾルデ」(全3幕)
演奏会形式/字幕付  於・東京文化会館メインホール 

わずか中3日おいての「トリスタンとイゾルデ」
先日の新国立劇場での同演目公演が中々の出来でしたが、今日の公演もそれに勝るとも劣らぬキャストを揃えているだけに、演奏会形式と言えども楽しみです
本日は休憩時間が新国より少し短めで各幕間で30分ずつの計1時間。歌手陣、特にトリスタンは大丈夫かなと思いつつの参戦です


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⚪︎キャスト等;
指揮 マレク・ヤノフスキ(Marek Janowski)

トリスタン(T)スチュアート・スケルトン(Stuart Skelton)
マルケ王(B)  フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ(Franz-Josef Selig)
イゾルデ(S)  ビルギッテ・クリステンセン(Birgitte Christensen) 
クルヴェナール(Br)   マルクス・アイヒェ(Markus Eiche)
メロート(T)  甲斐栄次郎
ブランゲーネ(Ms)   ルクサンドラ・ドノーセ(Ruxandra Donose)
牧童(T)   大槻孝志
舵取り(Br)   高橋洋介
若い水夫の声(T)   金山京介

管弦楽 NHK交響楽団
合唱 東京オペラシンガーズ
合唱指揮 エベルハルト・フリードリヒ(Eberhard Friedrich)、西口彰浩


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⚪︎感想:
上野公園は人混みは凄まじかったのですが、肝心の桜は全くというほど咲いておらず、ほぼ蕾の0.5分咲状態でした💦が、演奏の方は大いに楽しめました
今日も、正直1幕の前半などでは、少し記憶が飛んだところがありました💦が先日の新国立よりはもった感じ😅1幕でほとんど寝ていたすぐ前のお客さんは2幕にはいなくなっていました

演奏会形式の良いところは、舞台上に大規模編成のオケが組めて、しかも音の広がりが格段に良いことですが、ワーグナーの楽劇ではそれが最大限生かされて耳福この上なし
音響としても、新国立劇場オペラパレスより東京文化会館の方が、少なくとも響きは良い気がします

さてキャストの感想ですが、まずはトリスタンのスチュアート・スケルトン、スケルトンどころか横綱級😅の堂々たる体格からの力強い歌声は、三幕に入っても衰えを見せることなくコンプリートこれがヘルデン・テノールかと実感いたしました

凄みを感じたのは、マルケ王のフランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ重厚なバスの歌声はまさに会場の空気全体を震わすかのようで圧倒されました先日新国立でマルケ王を歌ったヴィルヘルム・シュヴィングハマーも良かったのですが、一枚上手かなという感じマルケ王を得意としている方らしく、完全暗譜でしっかり演技付きの大熱演でした

クルヴェナールのマルクス・アイヒェも中々の美声で大変良かったです新国立のシリンスが剛毅な軍人風で、ともすればトリスタンと対等、トリスタン役のニャリを食ってしまっていたのに対し、こちらはもう少しソフトな感じで、トリスタンとの関係性ではより従者っぽくてバランスが良かった気がします

男声陣は3人ともほぼ暗譜で演技っぽい所作も交えての演奏だったのに対し、イゾルデのビルギッテ・クリステンセン、ブランゲーネのルクサンドラ・ドノーセとも譜面台に齧り付き状態だったのは少し残念でしたまあ、演奏会型式なのでそれで問題はないのですが、どうしても暗譜で歌って細かな演技をしている方に目が行きますし、感情も乗っているような気がしてしまいます
ただし、二人とも歌唱の方に問題があった訳でなく、しっかり役割をこなしていたかなという感じ
2幕第2場、ブランゲーネの「見張りの歌」が、2階席R側のセンター寄り1列目にドノーセが陣取って歌っていたのは中々効果的でした

助演?の日本の歌手陣も健闘、招聘歌手陣と堂々渡り合っていました

オケは、さすがN響という破綻のないもの、重厚な弦の響きに加え、金管木管ともにソロパートも素晴らしく、特に3幕のイングリッシュ・ホルンの女性奏者のソロは圧巻の出来、完璧でした

ということで期待どおり、先日の新国立の「トリスタンとイゾルデ」に勝るとも劣らない出来、演奏だけならこちらが優勢(特に男声陣、向こうはフルステージなので演技や舞台美術も含め、まあ互角としておきましょう😅

今日の入りは8割強といった感じでしょうか?上野の人混みの凄さからすると満席になって欲しいところですたまたまお隣に座った方はアジア系の男性のようでしたが、「東京春際」と銘打っているのだから、字幕も英語版も用意すれば、外国人観光客も(上野観光ついでに😅)呼べるかもと夢想しました。今日のキャスト、演奏なら興味を持つ人も少なからずいるのでは、と思いつつ上野公園を後にした次第です。

⚪︎評価:☆☆☆☆★