⚪︎2024年3月26日(火) マチネ(14:00-)  ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ(Tristan und Isolde)」  於:新国立劇場オペラパレス

ワーグナーの楽劇、実演は先月の2期会「タンホイザー」に続いて2回目、MET LIVE VIEWINGの「ローエングリン」を入れてもまだ3回目休憩時間を入れて約5時間半という長丁場になりますが、「タンホイザー」や「ローエングリン」の経験ではそこまで長くは感じないかも😅
何せ本演目は、新国立劇場今シーズンの目玉演目の一つで、主役の二人が当初予定されていた布陣から交代になったものの、3/14に公演が始まって以来、評判は上々のようですので、悪天候の中ながら、楽しみに行ってまいりました


IMG_7895
⚪︎キャスト等:
指揮 大野和士
演出 デイヴィッド・マクヴィカー(David MaCvicar)
 


イゾルデ(S) リエネ・キンチャ(Liene Kinca)

トリスタン(T) ゾルターン・ニャリ(Zoltan Nyari)
ブランゲーネ(Ms) 藤村実穂子
クルヴェナール(B.Br) エギリス・シリンス(Egils Silins)
マルケ王(B) ヴィルヘルム・シュヴィングハマー(Wilhelm Schwinghammer)
メロート(T) 秋谷直之
牧童(T) 青地英幸
舵取り(Br) 駒田敏章
若い船乗りの声(T) 村上公太



合唱指揮 三澤洋史
合唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京都交響楽団


IMG_7896

⚪︎感想:
いやー、素晴らしかったです
予想どおり計約5時間半はそれほどには感じませんでしたが、それでも長いのは長い😅
途中、トリスタンやイゾルデの独唱(特にトリスタン)のところどころで寝落ちしてしまいましたがそれでも筋を追うには無問題とにかくひたすら音楽に身を委ねていれば良い感じでした(それがワーグナーの正しい聴き方なのかどうかはわかりませんが😅)

舞台美術は案外シンプル、中空に浮かぶ大きな月のような物体が、トリスタンやイゾルデの感情を反映して、青っぽい白から加熱して黄色、真紅へと変化する中、一幕は巨大な船のスケルトンのような枠組みの中で、二幕は巨木の幹が真ん中に打ち立てられた森のような、洞窟のような場所で、三幕は海を見下ろす岩場のようなごつごつした溶岩状の大地で、それぞれ舞台上手側に水が張ってあり、そこに時折人や物の影が映り込む中でお話が進行していきます。中々美しいセッティングだったと思います

肝心のキャストですが、まず主役の二人は、この長丁場をしっかり歌い切っていたことに感嘆しました
とりわけイゾルデのキンチャが声量も強い響きも十分で、素晴らしかったです演技としては、表情も含めてやや淡白な感じで、もう少し官能性があっても良かったかなとは思いましたが、歌が良ければOKでしょう🙆‍♂️
対するトリスタンのニャリはやや線が細めではありましたが、芯のある響きで最後まで頑張っていましたし、三幕は気息奄々な状況からイゾルデを迎えて最後の命の炎を燃やすところは中々の熱演ただ、キンチャとの重唱ではやや力負けしているなど、もう少し声量がが欲しかったところでしょうか

ブランゲーネの藤村さん、さすが貫禄の出来でした声量で圧倒する感じではないのですが、しっかり声は届きますし、声のニュアンス、表情、所作も含めた演技力が素晴らしいやたらと長く引き延ばされたドラマ💦なのですが、そこに奥行きを与えてくれていました

そして今日一番感心したのは、マルケ王のシュヴィングハマーとクルヴェナールのシリンス。シリンスは昨年の新国「ホフマン物語」のリンドルス役で素晴らしいのはわかっていたのですが、シュヴィングハマーの出来も負けず劣らずで、王に相応しい立ち居振る舞いと堂々たる歌唱で好演カーテンコールでもブラボー声がかなり飛んでいました

演奏も長丁場でもダレたり違和感を感じることなく聴けましたので、大野さんの指揮ともども、非常に良かったのではないでしょうか

ということで今日のカーテンコールでは、出演者への歓声、ブラボーのかけ声も大きかったのですが、かなりの数の人がスタンディング・オベーションをされていましたミュージカルでは見慣れた光景なのですが、日本で上演されるオペラでは珍しい方かもしれません

さて、今週末には東京春祭で同じ「トリスタンとイゾルデ」が待っています😅演奏会型式ながら、こちらも負けず劣らずの豪華キャストに加え、N響をヤノフスキが振るということですので、楽しみです
体調を整え、万全の体制で臨みたいと思います


⚪︎評価:☆☆☆☆★