○2024年 2月29日(木) 10:20-   MET LIVE VIEWING  2023-2024
ヴェルディ「ナブッコ(Nabucco)」 於:新宿ピカデリー

(本作は現地時間で20234年1月6日午後1時から上演された舞台を収録したものです)

MET LIVE. VIEWING今シーズンの第4弾はヴェルディ初期のヒット作で出世作、ターニングポイントとなったとされる「ナブッコ」です。
実演はもちろん、映像でも見たことはなく、楽曲も事前に聞いていないので全くの初見の状態です😅が、非常に評判の良いプロダクションとキャストのようで、ピカデリーでの上映最終日に何とか間に合って勇んで行って参りました

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○キャスト等:
指揮 ダニエレ・カッレガーリ(Daniela Callegari)
演出 エライジャ・モシンスキー(Elijah Moshinsky

ナブッコ(Br) ジョージ・ギャグニッザ(Goorge Gagnidze)
アビガイッレ(S) リュドミラ・モナスティルスカ(Liudmyla Monastyrska)
ザッカーリア(B) ディミトリ・ベロセロスキー(Dmitry Belosselskiy) 
フェネーナ(Ms) マリア・バラコーワ(Maria Barakova)
イズマイーレ(T) ソクジョン・ペク(Seokjong Baek)
その他

○感想:
いやー、素晴らしかったです
舞台にも人にもお金と手間暇、時間をかけている感じがしました

エルサレムの神殿とバビロンの王宮が裏表にセッティングされ、各場面で回転するそれ自体はシンプルな構造ながら、美術は重厚で質感のあるもの。衣装も基本、その時代を感じさせるものながら、3幕2場の「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」では、民衆が現代的な、様々な国、地域を彷彿とさせる衣装を身につけることで、現代の、故郷や国を喪い、抑圧された人々の心情にrelateさせる試みなど、演出面の意図はわかりやすかったと思います

そして本公演一番の主役はMETの合唱陣で、全体の3分の2を占めるという合唱パートでその実力を遺憾なく発揮繊細かつ力強い合唱を聴かせてくれました。まあ人数も多かったですが(^^;

プリンシパルキャストたちもどなたも素晴らしい出来で、特にタイトル・ロールのギャグニッザの美しいベルカント、アビガイッレ役モナスティルスカの強弱いずれも聴かせてくれる歌唱に圧倒されましたが、フェネーナのバラコーワの暖かみのある深い美声、イズマイーレ役ベクの輝かしいテノールも中々のもので、全編うっとりと音楽に浸ることが出来ました

途中幕間のインタヴューのシーンでは、ウクライナ出身のモナスティルスカが母国の人々に勝利を信じてと呼びかけている場面が印象に残りました。

全体に非常に出来が良いプロダクションであるせいなのか、ピカデリーでの最終上映日だったせいなのか、平日木曜日の割にはお客さんの入りが良く、4割がたは席が埋まっていたような気がします
先日の二期会の「タンホイザー」も良かったのですが、やっぱりヴェルディは良いなあ、と思いつつ劇場を後にした次第です。


○評価:☆☆☆☆