○2024年2月28日(水) ソワレ(17:00-)     東京二期会オペラ劇場
リヒャルト・ワーグナー「タンンホイザー(Tannhauser)」  東京文化会館大ホール

フランス国立ラン歌劇場との提携公演
全三幕(パリ版準拠、一部ドレスデン版を使用) 日本語字幕付原語(ドイツ語)上演


ワーグナーのオペラ/楽劇は、昨年4月にMET  Live Viewingで「ローエングリン」を見ただけで、演奏会形式を含めて実演を見るのは初めて
「タンホイザー」に関しては、あまりにも有名な「タンホイザー序曲」及び「巡礼の合唱」はお馴染みですし、「大行進曲」は高校時代に合唱曲として歌わされたような記憶があります😅が、もちろん全体を通して聴いたことはなく、果たして休憩を入れて約4時間の長丁場、空腹を抱えながら(笑)聞き通すことができるか、チャレンジングな観劇となりそうです(^^;


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○キャスト等:
指揮 アクセル・コーバー(Axel Kober)
演出 キース・ウォーナー(Keith Warner)

ヘルマン(B) 加藤宏隆
タンホイザー(T) サイモン・オニール(Simon O'Neill)
ヴォルフラム(Br) 大沼徹
ヴァルター(T) 高野二郎
ビーテロルフ(B) 近藤圭
ハインリヒ(T) 児玉和弘
ラインマル(B) 清水宏樹
エリーザベト(S) 渡邊仁美
ヴェーヌス(Ms) 林正子
牧童(S) 朝倉春菜
4人の小姓(S) 本田ゆりこ、黒田詩織、実川裕紀、本多郁

合唱指揮 三澤洋史
合唱 二期会合唱団
管弦楽 読売日本交響楽団

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○感想:
なかなか良かったです
例によって舞台美術はそれほどお金がかかっていない感じ💦で、舞台奥が一段高くなっていて、一幕ではヴェーヌスベルクの洞窟?を現し、そこで美と愛欲の妖精?たちが踊りまくる場として、二幕ヴァルトブルクブルク城の広間では歌合戦の舞台として、三幕では教会の聖壇?として表現されていた模様。

ちょっと変わった趣向としては、逆円錐状の鳥籠のようなものが吊り下げられ、一幕では怪しく光を放って、タンホイザーがヴェーヌスの囚われの身となっていることの象徴的オブジェとして(単なる個人的想像ですが😅)、三幕ではタンホイザーがエリーザベトの自己犠牲と祈りによって救済され、天に登っていく足掛かりとして使われていました。

そのほか、衣装に関しては何故か一幕はタンホイザーだけ現代サラリーマンっぽい服装をしてましたが、まあ普通^^;で特に豪華な感じはなし。合唱は男女合わせて4.50人といったところで、「巡礼の合唱」や「大行進曲」の場面など、もう少し多いと見栄えがするのになと思いましたが、予算上仕方がないところでしょう

さて、キャストのパフォーマンスに関してですが、まずタイトル・ロールのサイモン・オニール。
圧倒的な声量という感じではなく、意外に細めの声ながら、ビブラートと共鳴の良く効いた響きの強い声が前に飛んでくる感じ無理に声を絞り出している感じもなく、最後まで余裕を持って歌っていました「現代最高峰にして唯一無二のワーグナー歌手」との触れ込みから勝手に想像していた歌唱とはちょっと印象が異なりましたが、とても聴きやすくて好感を持ちました

その他の日本人キャストも良かったと思いますヴォルフラムの大沼徹さんは、昨年11月のNissay Opera「マクベス」のタイトルロールで拝見していますが、今回の方が自分にはしっくりきました💦やっぱりドイツものの方が合うのでは?牧童の朝倉春菜さん、とにかくボーイソプラノのような声が美しいエリーザベトの渡邊仁美さん、これが初役だそうですが無難に大役をこなし、ヴェーヌスの林正子さんは、持ち役らしく流石の出来という感じでしょうか。

演奏にも特に不満はなく、ワーグナーらしい管弦楽を堪能、休憩込みの4時間の長丁場もさほど長くは感じずに楽しむことができました
今日の席はB席(12,000円)、4階センター最前列だったのですが、観劇にもなんら問題はなく、音響も極めて良好演奏内容も含め、先日の「魔笛」がS席2階左ブロック第4列で23,000円だったのがなんだかなあと、また納得行かない感が蘇ってしまいました💦

ということで豪華でスケールの大きい舞台、とまでは行きませんが、パフォーマンスとしては十分楽しめたほぼ初ワーグナー体験でした
来月は新国と東京春祭で「トリスタンとイゾルデ」が待っていますが、何とかワーグナーも聴ける体になってきた(笑)ようなので、今後上演機会があれば、積極的に狙いに行きたいと思います

○評価:☆☆☆★