○2024年2月4日(日) マチネ(14:00-) 於:新国立劇場オペラパレス
ドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」 (イタリア語上演/日本語及び英語字幕付)

2日続けての新国立オペラはドニゼッティの「ドン・パスクワーレ」。本当はこの日、東京文化会館でファン・ディエゴ・フローレンスとプリティ・イェンデのデュオコンサートがあり、こちらにも行きたかったのですが、日程調整がつかずこちらを選択

「ドン・パスクワーレ」に関しては、軽めの喜劇であること以外は予備知識がほとんどありませんが、「愛の妙薬」ほどではないにせよ、比較的上演機会が多い人気演目なので、そこそこ聞き応えがあるはず😅
今回の公演は今日が幕開けですので、評判は分かりませんが、キャストも一流のようですし、 ある程度の期待をしつつの参戦です😅

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○キャスト等:
指揮 レナート・バルサドンナ(Renato Balsadonna)
演出 ステファノ・ヴィッツイオーリ(Stefan's Vizioli)

ドン・パスクワーレ(B) ミケーレ・ペルトゥージ(Michele Pertusi)
マラテスタ(Br) 上江隼人
エルネスト(T) ファン・フランシスコ・ガテル(Juan Francisco Gatell)
ノリーナ(S) ラヴィニア・ビーニ(Lavinia Bini)
公証人(Br)   千葉裕一
ほか

合唱指揮 冨平恭平
合唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京交響楽団

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○感想:
楽しめました
音楽(楽曲)自体も分かりやすくて良かったのですが、やっぱりタイトルロールが良いと作品の良さが際立ちますね

演出面で目を引いたのは舞台装置で、パネル状の壁面が電動?で組み合わされたりバラけたりしながら、家を形作ったり、書斎の背景になったり、外壁になったりと見た目にも面白い趣向
ノリーナの寝そべるカウチも電動で役者自身が手元のスイッチで操作して、舞台中央に移動する仕掛け(笑)
さらに、第3幕の厨房のシーンでは、舞台の上手から下手まで続くやたらに長い調理台が“売り“で、視覚的にも楽しませてくれました

キャストでは前述のとおりタイトル・ロールのミケーレ・ペルトゥージが出色の出来美しく豊かなベルカントの響きに笑いとペーソスに溢れたケレン味たっぷりの演技がマッチして、見事に小市民的なドン・パスクワーレを体現特に2幕でノリーナに平手打ちされてから、いっぺんに萎れて元気がなくなる様は可哀想なのですが思わず笑ってしまいました😅

ついで印象に残ったのは、エルネスト役のファン・フランシスコ・ガテル明るいやや細めの声ながら鼻腔(頭骨?)共鳴がしっかり響いているので声が薄くならず柔軟性のあるリリックなテノールを聞かせてくれました3幕のセレナータ「なんと心地よい四月の夜!」は今日の歌唱で一番印象に残りました

ノリーナのラヴィニア・ビーニもいかにもベルカント系のオペラを得意としていそうなリリック・コロラトゥーラ系の声で、1幕の「騎士はその眼差しに」など、いいなと思う部分も少なからずあったのですが、四重唱でアジリタ?早口言葉?の部分になると埋没気味だったのがやや残念なところまあ、しかし悪くはなかったと思います

評価が難しいのがマラテスタ役の上江隼人氏💦冒頭登場した時はテノールかと思ったほどのやや高めのバリトンで、非常に良い声をしていましたし、特に中高音部は素晴らしかったのですが、低音域になると響きが落ち気味な感じ(あくまで素人の感想です😅)しかし、ミケーレ・ペルトゥージとの重唱も含め、総じて招聘キャストに遜色なく頑張っていたと思います

それにしても、本作は喜劇仕立とは言え、老いらくの恋に盲目となるドン・パスクワーレを笑い飛ばすだけでは済まないほろ苦さも感じさせるところ、「ファルスタッフ」にも通じるものがあり、中々の傑作ですねドニゼッティは本作や有名な「愛の妙薬」の他にも喜劇をたくさん書いている(「連隊の娘」など)ようなので、上演されれば観てみたいと思います

○評価: ☆☆☆★