線形代数 番外(単因子標準形とジョルダン標準形の関係)
単因子標準形とは、行列Aについて、tE-Aを以下の規則に従って、(i,i)が(i+1,i+1)を割るように対角行列にしたものです。
規則1 ある行と他の行を入れ替える
規則1’ ある列と他の列を入れ替える
規則2 列または行をc倍する (c∈R)
規則3 行に「tの多項式」を掛けたものを、他の行に加える
規則3’ 列に「tの多項式」を掛けたものを、他の列に加える
規則1 ある行と他の行を入れ替える
規則1’ ある列と他の列を入れ替える
規則2 列または行をc倍する (c∈R)
規則3 行に「tの多項式」を掛けたものを、他の行に加える
規則3’ 列に「tの多項式」を掛けたものを、他の列に加える
1.単因子標準形の性質
・対角要素のtの次数の和は、行列の次数である
・対角要素の積は、固有多項式(tE-Aの行列式)に等しい
・対角要素の最後の要素は、最小多項式に等しい
2.単因子標準形とジョルダン標準形の関係
単因子標準形はジョルダン標準形と一対一に対応する!!
3行3列の場合
例1.ある行列のtE – Aが以下となった場合の単因子標準形
第2列×(-1) → 第1列に足す
t-1 0 0
-t+2 t-2 0
0 0 t-3
第2行 → 第1列に足す
1 t-2 0
-t+2 t-2 0
0 0 t-3
第1行×(t-2) → 第2行に足す
1 t-2 0
0 t-2+(t-2)² 0
0 0 t-3
第1列× -(t-2) → 第2列に足す
1 0 0
0 t-2+(t-2)² 0
0 0 t-3
・対角要素のtの次数の和は、行列の次数である
・対角要素の積は、固有多項式(tE-Aの行列式)に等しい
・対角要素の最後の要素は、最小多項式に等しい
2.単因子標準形とジョルダン標準形の関係
単因子標準形はジョルダン標準形と一対一に対応する!!
3行3列の場合
例1.ある行列のtE – Aが以下となった場合の単因子標準形
第2列×(-1) → 第1列に足す
t-1 0 0
-t+2 t-2 0
0 0 t-3
第2行 → 第1列に足す
1 t-2 0
-t+2 t-2 0
0 0 t-3
第1行×(t-2) → 第2行に足す
1 t-2 0
0 t-2+(t-2)² 0
0 0 t-3
第1列× -(t-2) → 第2列に足す
1 0 0
0 t-2+(t-2)² 0
0 0 t-3
1 0 0
0 (t-2)(t-2+1) 0
0 0 t-3
0 (t-2)(t-2+1) 0
0 0 t-3
1 0 0
0 (t-1)(t-2) 0
0 0 t-3
第2、3の行と列をそれぞれ入れ替えて
1 0 0
0 t-3 0
0 0 (t-1)(t-2)
これで終わりと思っては いけません。(3,3)を(2,2)で割れませんから。
第2行に-tを掛けて、第3行に加える
1 0 0
0 t-3 0
0 -t²+3t (t-1)(t-2)
第3列を第2列に加える
1 0 0
0 t-3 0
0 2 (t²-3t+2)
第3行に-(t-3)/2を掛けて、第2行に加える
1 0 0
0 0 -(t²-3t+2)(t-3)/2
0 2 (t²-3t+2)
第2列に-(t²-3t+2)/2を掛けて、第3列に加える
1 0 0
0 0 -(t²-3t+2)(t-3)/2
0 2 0
第2、3の行を入れ替えて定数を掛けて、単因子標準形となる。
0 (t-1)(t-2) 0
0 0 t-3
第2、3の行と列をそれぞれ入れ替えて
1 0 0
0 t-3 0
0 0 (t-1)(t-2)
これで終わりと思っては いけません。(3,3)を(2,2)で割れませんから。
第2行に-tを掛けて、第3行に加える
1 0 0
0 t-3 0
0 -t²+3t (t-1)(t-2)
第3列を第2列に加える
1 0 0
0 t-3 0
0 2 (t²-3t+2)
第3行に-(t-3)/2を掛けて、第2行に加える
1 0 0
0 0 -(t²-3t+2)(t-3)/2
0 2 (t²-3t+2)
第2列に-(t²-3t+2)/2を掛けて、第3列に加える
1 0 0
0 0 -(t²-3t+2)(t-3)/2
0 2 0
第2、3の行を入れ替えて定数を掛けて、単因子標準形となる。
1 0 0
0 1 0
0 0 (t-1)(t-2)(t-3)
0 1 0
0 0 (t-1)(t-2)(t-3)
したがって、このジョルダン標準形は、
そのものずばり である。
そのものずばり である。