Studio Life 「OZ」 in 福岡市民会館  ソワレ

原作;樹なつみ
脚本・演出;倉田淳
キャスト:笠原浩夫、及川健、山本芳樹、曽世海児ほか

久々の舞台。期待は、特に裏切られなかった。
初演はシアターサンモールで観ただけあって、市民会館はちと広い。以前招待券を譲ってもらい、この会場で「トーマの心臓」を観たのがスタジオライフを知るキッカケだったのだけど、今回も招待券で観劇となるとは思ってもみなかった。そのせいか、前の方の列なのに両脇が空席なんだもの。寂しいったらありゃしない。一緒に行くはずだった人が急に行けなくなり、私ひとりだったこともあって、一席空いて隣がいたにもかかわらず、まるで私がLONELYを極めているみたいだったもの。

…この、自意識過剰め!

おまけに終始マスクをしていたから、自分の孤独感が増すのな。左隣は女の人2人組、右隣は男の子2人組だった。私も2人組が良かった。芝居を誰かと見に行くのは好きではないが、今日ばかりは誰かにいてほしかった。

さて、そろそろ本題に入りましょうか。
初演とはかなり違っていたように思う、細かくは言えないけれど。依然としてムトーと1019の関係は濃く描かれていたものの、フィリシアとムトーとの愛情が強くなっていた。フィリシアがムトーへの愛に気付くのにはいささか唐突過ぎる感も否めないが、山本ムトーが良かったのか、二人の関係性は綺麗だったように思う。
高根ネイトも、クールで戦士で見た目よし。何より高根さんは、「愛」をさせるととても上手い。観てて羨ましくなってしまう。ひとつだけ言わせて貰うと、姜1024と抱き合うときに、背中より横から観ていたかった。1024が身長の高すぎる点が災いしたのか、背中からひざにかけて「隙あり!」と言いたくなるほど弱さを感じてしまったから。いいのよ、抱きしめようとしたときの勢いは。でもその後がね…。惜しい!
次に、リオン。首こきこきの動作が、左手で髪の毛グルグルの動作に変わっていたのが衝撃的だったが、どちらかといえば、今の髪の毛グルグルちゃんの方が、脳移植をした後の姿=体は天使(子ども)・脳は天才のイメージに合っていた。天才ゆえの狂気よりもむしろ、母親に依存したままの成長できない坊ちゃんだと考えれば、マッドサイエンティストの神経質さを出すよりは幼さを残した方が納得いく。曽世(サイバノイド)リオンも良かったが、深山(脳移植後)リオンは何より良かった。短い出番だったが、ものすごく印象的だ。育つねぇ、育つねぇ。
初演で私のハートを射抜いた林ビアンカに代わって登場した青木ビアンカ。申し訳ないが、私は林ビアンカのほうがとても好みだ。天才一家のなかで唯一凡人であるが故のコンプレックスが生むツンケンした態度と、ムトーへの恋心。明確に表現できるのは、勇輔さんだけだ。新納ビアンカは見てないので、何とも言えないところもあるけれどさっ。

と書いてきたところで、言いたいことも尽きてきました。
期待も、それまでだったということです。前回の「パサジェルカ」で期待した荒木アラーキーは、何ともコメントし辛い役どころだったね。次回に期待しましょうか。それに対してマキシマム氏は、一段と上手くなって。佐野さんともども、ますますの御発展をお祈りします。

最後に、帰りの電車での会話をひとつ。
設定:居酒屋で飲んできた、OLとそれを可愛がっている上司。かなり酔っていると思ってよし。

電車に乗り込んでくるなり
OL:「あぁ~、視線が気になるぅ。みんなが私たちを見てる気がする。見てるぅ~。…自意識過剰?あはは」
上司;笑顔
OL;「あ、明日名古屋に行くんですよねぇ。何時?朝?」
上司:「夕方からだよぉ」
OL:「あぁ~!それじゃぁ、ゆっくり出来ますねぇ。ひくっ。味噌カツ!味噌カツ!味噌、黒すぎ!あたし、あれ嫌いなんですよねぇ。ひくっ。空港で(食べましたよ、味噌カツ。味濃い。」
上司:にやにや笑うだけ
(呂律が回ってないもので聞き取れず、少し省略後…)
OL:「ご、ごほっ。ご飯にするぅ?お、ひくっ、お風呂にするぅ?ねぇ~え~」
上司:「どっちにしようかなぁ」
(とそこに、車内放送。「まもなく○○駅~○○駅~」)
OL:「酔ってないから、タクシーで帰れますよぉ」
上司:「いいよぉ、一緒に乗ってくよぉ」
(どさくさにまぎれて、降りていきやがった)

OLと上司の域を超えている可能性も特には否定できないが、しょうもない会話を恥ずかしげもなく大きな声で繰り広げて下さるので、紹介してみました。世の中、色んなひとがいるもんだで。おかげで、芝居の余韻に浸れるわけもなく、今こうしてパソの前にいるわけです。