私は今年の7月末をもって、映像翻訳の仕事を辞めた。私は辞めたくはなかったのだが、ペアの人が仕事をするのがきつくなってしまい、ついに音を上げたのである。一応、彼女に雇われている身である私は、仕方なく彼女の要求を承諾するしかなかった。
突然の話に私はショックだったし、焦った。これから家族も増えるというのに、今でさえ、ぎりぎりの生活を送っているのに、私の僅かな収入さえもなくなってしまったら…と。数日間、一人で悶々と悩んでいた。自分で翻訳の仕事をとってくるべきか、翻訳会社に登録すべきか、何か他に新しい仕事を見つけるべきか、手っ取り早くこの近所でバイトを見つけるべきか…。
とうとう、悩む限界を超えて旦那に相談した。事情を話し、今後私はどうしたらいいと思う?と尋ねてみた。すると旦那は、「自分の好きなようにしたらいいよ。仕事をしたければ、仕事を探したっていいし、家にいたかったら、家にいればいい。特に今は妊娠中なんだから、体を休めて、ゆっくり自分の時間を楽しんでもいい。でも、大事なのはお前が本当にやりたいことをすることだよ。僕に気がねして、やりたくないことをわざわざ選んで、不平不満を言われるのだけは嫌だからね。お前は何だかんだ言って、周りが何と言おうと自分の思ったとおりに生きる人だから。僕の本望を言えば、毎日お弁当が食べたいな。そして、僕たちの手でしっかりと子育てはしていきたい。それだけだよ」と言った。
旦那にそう言われて、私は今は取りあえず専業主婦に徹することに決めた。8月からは3週間日本に帰省することも決まっていたし、日本から帰ってきたら妊娠7ヶ月目になるので、仕事を新たに始めるのには中途半端な時期だなと思ったのと、やはり子育てに専念したいと思ったためである。私は本来仕事人間なので、仕事を始めると男化する。よく旦那に「お前は仕事を始めると、途端にイキイキし出すよね」と言われる。生活の中心が仕事になってしまう。でも、やはり妻でもあるので家事のこともとても気になる私がいて、その二つの狭間に挟まれて苦しむことが多かった。仕事も完璧にこなさないと気が済まないし、だからといって家事を疎かにするのも嫌だった。旦那も旦那なりに手伝ってくれるのだが、やはりどうしたって女の方が家事の負担が大きくなる。うまく両立ができればいいのだが、私はあまり両立が上手ではないようだ。無理して両立しようとしているために、旦那にあたることが多々あった。翻訳の仕事は週に1、2日のペースだったのでそうでもなかったのだが、昔韓国で会社員だった時とデンマークの免税店で働いていた時はそれが原因で喧嘩することが多かった。