ここにあなたへ届かない手紙を書きます。

 

あなたが、あなたらしいやり方で、私たちの前から去ってしまった事、

胸が張り裂けそうなほど悲しいと同時に、美しい後ろ姿が鮮やかに浮かんで、

やはり最後まで見事な人だったと、ため息が出ます。

 

ちぎさんが芝居に対してとても厳しい方だということは、見ていれば分かります。

ちぎさんは男役という芸を、まっすぐ直向きに、これ以上ないほどに極められました。

その一方で、宝塚卒業後は、迷い、模索しながら歩んでいるのを感じていました。

でもだからこそ、あなたの芝居にはまだまだ先があると思わずにはいられませんでした。

 

あなたは本当に自分の採点に厳しく、溢れるほどの才能に恵まれているのに、

少しもうぬぼれのない人でした。

あなたほどの才能が無い人でも、自分への賛美を惜しまないのに、

あなたはどんなに多くの人があなたに羨望の目を向けても気づかないようでした。

 

不思議ですね。

美しく、優しく、謙虚な人ほど、人目のつく華やかな場所から身を引いてしまいます。

でも言わせてください。

どんなにあなたが否定しようと、早霧せいなを失ったことは、この国の芸能の大きな損失です。

 

でも、新たな道に情熱を燃やしているあなたを止めることはできません。

私はその、人の心を掴んで離さない鳶色の瞳をいつまでも思いながら、

私の道を進んでいきます。

いつかこの道が交わることを夢見ながら。

 

12年間、日ごとにあなたに恋していました。

あなたが男役でなくなっても、母親役をやっても、毎日この気持ちは膨らむばかりでした。

なんて幸せな日々だったのでしょうか。

 

今はただ、あなたが同じで空の下で笑っていることを、心の支えにして生きてゆこうと思います。

 

私の愛する早霧せいな様へ