女性の日常のような、そうでもないような… 加藤千恵 『私に似ていない彼女』 | カエルの読書

カエルの読書

本と映画と美味しいものが好きなインドア人間の備忘録

1話1話が短く、その先が気になるという部分もあるけど、この短さも良いのです。





隣にいる人は、あなたの鏡。 
人生に本当に必要なのは、気が合わない人だ! 共感ごっこに辟易した人に読んでほしい――山本文緒(小説家) 

決別した母と十数年ぶりに顔をあわせた娘、友情は永遠に続くと思っていたあたしたち、仲が良いわけではなかった昔の同僚、憧れで大好きな叔母、見えない鎖に縛られた姉妹--。
近すぎるから疎ましい。近づきたくてもどかしい。
見て見ぬふりをして、傷つかないふりをして、心の片隅に押し込めていた感情が溢れ出す、様々な「女二人」の繊細な距離感を鋭く切り取った傑作短編集。(amazonより)


全8話

「滅亡しない日」
いつも一緒に過ごしてきた親友の真優。
だけど真優に彼ができて、それまで何でも分かり合えてたあたし達だけど、好きな人ができたことのないあたしには理解できないことばかりで。

「非共有」
大学からの付き合いである淳子と婚活をしている私だが、物事の考え方はやはり違う。

「切れなかったもの」
4つ上の姉と2人暮らしのわたし。
姉の食べたいというものを作り、家事も全てこなす日々なのだが。

「お茶の時間」
仕事を辞めて台湾茶の専門店を始めたわたし。
そこへ、かつての職場でアルバイトをしていた原ちゃん、一晩泊めてほしいとやって来た。

「あたしは恋をしない」
叔母がやっている多肉植物専門店に通う、10歳のあたし。
男子になんて全く興味もないし、一人で過ごす方がずっと楽しい。

「正直な彼女」
ひょんなことから知り合った雪子。
僕には当時付き合っていた彼女もいたが、自由で独特な雪子に次第と惹かれていき。

「神様の名前」
母と一緒に信じていた宗教があった。
だけど、あたしはその神様を捨てて。

「皺のついたスカート」
祖母が亡くなり、確執を残したままの母と十数年ぶりに再会した。


どこか切ないような苦いような短編集8編。
似たような経験なんてないのに、どの話もどこか理解できるというか、不思議な読み心地。

個人的には「お茶の時間」が好き。
「正直な彼女」はバカな男だと思って読んでいたらラストすごい怖かった。
あーあ、って感じで…私は関係ないのに先を思うと恐ろしい。
加藤さん、読むの多分2冊目だけど淡々としたすっきりした文体が好き。
派手さはないけど、面白かったな。
なかなか好みの作品集だった。