ヤマト幻の反乱劇を追う その3 消えた反乱劇 | 波動砲口形状研究

ヤマト幻の反乱劇を追う その3 消えた反乱劇

今回から資料としてヤマトパーフェクトマニュアル2が加わり、初期段階の資料の詳細がよりわかるようになった。



前回誰やねん呼ばわりしていた西野は



こういう顔でした。
立ち位置的には主人公の親友だが対抗意識も持つという、島に近い形で考えられていた役のようだ。


再び、企画段階の反乱を追っていこう。

「大クロニクル」によると、初期の企画が没になった後、1974年4-5月に新たに参加した松本零士氏がメカやキャラクターのデザイン、



物語の構成案を作成した。



松本メカ、キャラ、アイディアで一新された企画は通り、10月からの放送が決定する。

「大クロニクル」ではこの松本氏のストーリー構成案を「松本メモ」と呼んでいる。

「松本メモ」には最終回までのストーリー案も記されている。ここには反乱の文字はなく、艦内でのグループごとの反目というものにトーンダウンしている。



この「松本メモ」が下敷きになって、全39話分のストーリーの「進行表案」が作られる。


*「大クロニクル」には写真が


*「設定資料集」には写植に移された表が載っている。中身は同じだ。


この「進行表案」にも反乱の文字はない。

この「進行表案」に基づいて、39話それぞれに原稿用紙1枚に1)シリーズ名、2)放送予定日、3)場所、4)ドラマ・ストーリー、5)シリーズの人間関係、6)この話の人間関係、7)ヤマトの売りどころ、8)その他のアイディア9)クライマックスがまとめられた、各話ストーリープロットが作られている。



「大クロニクル」には欠損している8, 22, 23話を除いて全話のそれが掲載されている。

このストリープロットに記されているのは話の骨組みだけなので、そこに後から打ち合わせの内容が書き加えられて脚本の参考にされた。

しかし1-3話にはほとんど書き込みがない。これは1-3話はその時点で内容の詳細もすでに決まっていたからと考えられる。

つまりこれは事実上ヤマトの製作が始まっている時点のストーリー計画だ。

したがって、「こうなるはずだった」が書かれているならこれが最後だ。

これら全てに目を通してもやはり反乱はない。

このストーリープロットをまとめた表が「基本設定一覧表」という表だ。もちろんここにも反乱はない。せいぜい21話のヤマト内部が混乱する、という記述くらいだ。(この混乱については後述する。)



こうなると、欠損している22,23話が気になってくる。


*「第」が「弟」になっているのはご愛敬

上掲一覧表でもなぜか22,23話のところが空欄なのだ。もしかしてこのあたりで反乱が?

39話のストーリー案が読み取れる他の資料としては、松本零士氏が作ったヤマトの作戦全区というものがある。



これは上掲の「各話ストーリープロット」と詳細が異なるのだが、(例えば、「作戦全区」では28,29話にイローゼの心理作戦で、「各話ストーリープロット」では30話に「怪生物による機関故障」で艦内にパニックが起きるとなっている)およその話数と内容は対応している。

この「作戦全区」のうち22話は大攻防戦、23話はゲールとの戦いと言うことになっている。



その前後を確認しても、反乱の文字はない。となるとどうもこのあたりに反乱劇を置くというプランは無かったと考えてよさそうだ。

「作戦全区」のそれ以外の所、全体に目を通しても反乱はみあたらない。


というわけで、企画段階のストーリー案として確認できるものを、最も初期のものから製作直前まで見返してきた。

しかし、真田を首謀者とする反乱が明記されているものは結局見つからない。

企画段階であったという、真田の反乱劇はまさに幻といった様相だ。一体どこにその根拠を求めればいいのだろうか。

…というところで再び項を分ける。