僕は生贄の雄狐。
そして生贄として狐を貰いたいというのは、神社に祀られている大蛇様だ。
大蛇様が生贄がほしいと言うならば生きの良い若い雄狐がいいだろうと、山に住む一族の中から僕が選ばれた。
僕は一族の代表の生贄になることを決心して、食べられるなら痛くないように食べてほしいと思っていた。
大きい蛇様なら一呑みで食べてくれるはず。
そう思いながら、僕は身を泉で清めてから神社の境内に入った。
「来たか!!」
大きな蛇は僕を見て涎を垂らしながらニコニコ笑っていた。
「あの大蛇様!!……僕を食べるなら、一呑みで痛くないようにお願いします!!」
すると大蛇様は少し考えてから、
「確かに俺が生贄なら、痛くないように一呑みで喰ってほしいな。でも…、こんな大きな狐を一呑みで食べれるほど、俺は大きくない」
それから大蛇様はもっと大きくなるように、毎日一呑みで食べれる物を食べていった。
「大蛇様、僕鼠採ってきました!!」
「鼠なら、狐のお前が食べれば良いじゃないか」
「そんなっ。僕……折角大蛇様の為に狩りに行っていたのに」
鼠、鳥、兎と大蛇様は色々な動物を食べて大きく成長していった。
兎が余裕で食べれるくらい大きくなった大蛇様になら、狐も一呑み出来るだろう。
今日の晩に僕を食べてもらおうと、夕方に泉で身を清めて、大蛇様のいる部屋で待っていた。
でもそんな僕を見てから、大蛇様は何も食べなくなってしまった。
「……俺はもう、狐は食べれない。一緒に過ごしてくれた狐(お前)が好きなんだから」
「大蛇様っ!!」
大きく成長なさった大蛇様は蛇神様に出世なさり、僕はその蛇神様のお嫁様になった。
僕は生贄からお嫁様に大出世した。
(とんだ茶番劇)
終わり
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