『認知症の人のケア』


これにばかり捕らわれていると窮屈になる。


これは大事だけど、それよりも大事なのは、『人へのケア』だ。



わたしは、だれがなんと言おうと、譲れない生き方がある。


そこを変えなさいと言われても、変えられない信念がある。



この生き方は、この信念は、月日がたっても変わらないだろう。


それをわかっていてくれる人たちといることが、わたしの心地よい環境といえる。


わたしの幸せな環境といえる。



わたしがこう思うように、花縁で暮らすお年寄りたちにも、そう思ってもらいたい。


自分をわかってくれる人たち。


その人たちといることが、幸せな環境だということ。



それが『人へのケア』ということではないのかな。


入居して2年半になるUさん。


今迄言ったことなかった言葉を言い、玄関に来るようになった。


『家に帰りたい・・・』と外を歩き家を探す。


最近幻聴も聞こえるようで、認知症の症状も進んでいる様子も見受けられた。


スタッフが嘘をついている、本当のことを言ってくれない。


スタッフに対して猜疑心を抱いている。


でも帰りたい理由はなんだろうか?


単に認知症が進んだだけで、帰りたくなるだろうか?


その想い、どこにあるのか探ってみたい。


カンファレンスで投げかけた。


何があったのかな?ここにいたくない理由?



気づいているスタッフがいた。


それは新しい入居者Fさんだ。


若くて、動きも軽くて、何でもできるし、仕事が早い。


Fさんはあっという間に台所の主になった。


そんなFさんの影響があった。



Uさんは花縁を仕事場だと思っていることが多かった。


仕事をしなければいけないという思いを抱いている。


少しの環境の変化に、こちらが思いもしない大きな心配をすることが何度もあった。


Fさんがその環境の中に急に入ってきたことで、Uさんの心の環境が変わっていった。


今迄自分がしてきた仕事をまるで以前からいたかのように段取りよく働く姿を見て、自分が迷ったりわからなかったりしてしまう作業を難なくこなす姿を見て、自分の存在の価値を見失ったのではないか。


自分はいなくてもいい人間になった、自分の仕事がなくなった・・・・・・


そんな風に思ったのでは?



でもそうはっきり誰かに伝えることができない。


はっきり言うと、Fさんを傷つけるし、関係が悪くなるし、自分を必要としていないと思われたのなら静かに身を引こうかと・・・・・


それが「帰りたい」と外を歩く行動で表現していたのでは・・・



それだ!、

その次の日からまた環境を戻してみた。


Uさんに台所の仕事をしていただき、みんなで生活する、みんなで仕事をする場所を意識してみた。


「帰りたい」行動が減っていった。


よく笑うようになったし、スタッフを疑う言葉もなくなった。


元のUさんに戻りつつある。



敏感な心、繊細な心、そこに寄り添う私たちの心。


どんな心にも耳を澄ませて、目を向けて、心を寄せて・・・・・




支援物資。


グループホーム「花縁」物語-支援物資


本日、東日本大震災によって被災されたあるグループホームに支援物資を送らせていただいた。


数日前に直接電話を入れ、今一番必要なものは何かお聞きし、スタッフみんなで持ち寄った。

みんなが協力してくれたおかげで、ダンボール7箱になった。



11日以来、すぐにでも飛んで行きたい気持ちでいた。


TVで放送された映像を見て、もし自分たちだったら・・・・・と想像してみる。


きっと困っているだろう。


きっと考えているだろう。


たくさんの工夫をしているだろう。


そんな困りごとが、少しでも軽くなっていただければ。


そう思っている。



スタッフみんなのメッセージを添えて送らせていただいた。


わたしたち北海道の仲間たちも心は一緒である、と。


青い空の下繋がっているんだ、と。


ひとりひとりの想いをこの支援物資と一緒に届けたい。


純粋に、心から、応援しています。


頑張ってください。


誰もが安心して暮らせる世の中。


昨日、社会福祉協議会で行っている『ネットワーク推進会議』で、花縁の地域との関わりを発表させていただいた。


発表者はわたしともうお一方は「NPO法人エクスプローラー北海道」代表の佐藤様。


子供の安全活動を通じた『まちづくり』というテーマで「ウォーキングバス」のお話だった。


「ウォーキングバス」とはイギリス発祥の通学方法でいわゆる集団登校である。


子供を地域で守るための取り組みで日本で始めて行われたものだという。


この地域で以前刃物を持った不審者が小学生を襲った事件が起こり、その後学校から親が子供を送るようにとの通達が出て、地域を歩く子供の姿が消えたという。

親の送りのない子は寂しく歩いて登校しており、このままでいいのだろうかと考えた代表が、自ら子供と歩いて登校したという。

親がついて歩くことで、寂しく歩いていた子供もそこに自然と寄ってくるようになったという。

その後「ウォーキングバス」を取り入れていき、集団で大人も一緒に歩くことで防犯につながり、安全な環境を作り出すことができている。

危ないときは保護して歩かせないのではなく、子供が安全に歩ける環境・地域をどう作り上げていくかを考えたのだという。


お話を聞いていて、全く同じだと感じた。

わたしは認知症の方たちが地域の中でどう暮らしているかをお伝えしたが、共通するところがあったとお互いに感じたのである。


認知症の方のいわゆる「徘徊」についても、徘徊していなくなることを恐れ隔離してしまうのではなく、徘徊して道がわからなくなってもすぐに助けてもらえる地域、どんどん歩いていい地域を作りたいと思っているわたしたちにはヒントがたくさん隠れていると思った。


認知症をお持ちの方が一人で街を歩く・・・自分の意思で歩けること・・・自立していることの実感・自信。


これと同じようにウォーキングバスも結果的には子供主体のものになっていった。

子供の自主性を育むことになったのである。


与えられるだけでなく、自らが発信し、自分たちで創る。


そんな地域が活き活きとして、住みやすい、安心して暮らせる地域なのではないか。


やっぱりみんな同じことを考えている。


誰もが安心して暮らせる地域。


いまそれが求められている。


仙台センターからのお知らせです。


『仙台センター第1期修了者の蓬田隆子さんが、3/30 20:00~ NHK教育 「福祉ネットワーク」に出演され、施設の現在の状況をお話しするとのことでしたのでお知らせします。』



そんなことを言っている場合か!!




そんな感情を持っている場合か!!







自分よ!!




本日入居相談あり。


福島県からの被災者である。


今回の震災で暮らしていた環境をなくした方である。


認知症をお持ちで一人で生活することはできない。


同業者の知り合いからの紹介でうちにいらした。


現実にこの災害の大きさを肌で感じる。


着の身着のままなんとか飛行機に乗り来道したのだという。


千歳空港からこの街に着くまでの間に、靴を買い、床屋もして・・・


市も迅速に対応してくれ、今日入居が決定した。


家がなくなった話を繰り返し話す。


早く落ち着いてくださるように。


あの恐怖を忘れられますように。


福島県で被災した、私たちの仲間が無事であることがわかりました!!


仙台センター23期生の仲間です。


同期生から「無事でした!」のメールが届きました。


ほんとうによかった。



早速電話してみました。


当日は勤務していて、地震後津波が来るかもしれないということで、お年寄りを車に移動し高台に避難しようとしたとき、津波が押し寄せてきたそうです。


走って逃げてなんとか助かったと。

なんと腰まで津波に浸ったそうです。

その日以来一度も家に戻れずにいるとのこと。


落ち着いたのは1週間くらいたってからだそうです。

みんなに連絡したくても携帯もPCもなくて、だんなさんの携帯でのやり取りでした。


ほんとうにほんとうによかった。


彼女ならきっと元気でいるはずって、みんなで言ってた。

そのとおりになったもの。


北海道・青森・岩手・宮城・高知・広島の仲間たちが祈り続けた結果です。


今年絶対に同窓会しましょう。


仙台でね!



21午後8時より、NHK!



ETV福祉ネットワークの障害者災害情報で認知症を取り上げます。


電話出演蓬田さん。


スタジオゲスト、永田久美子さん。


みなさん一緒に見ましょう。



避難所でがんばっている認知症の人・家族等への支援ガイド
* 避難所には、認知症の人や認知症様の症状が出始める人がいます。
* 人一倍ストレスに弱い特徴をもつ認知症の人は、避難所で混乱しやすく、
心身状態が増悪したり、家族や周囲の負担も増大しがちです。
* ちょっとした配慮で本人が安定し、周囲の負担軽減ができることがあります。
* 避難所で認知症の本人、家族、周囲の人が少しでも楽に過ごせるように。
以下の点を参考に、できる工夫を、どうぞ試みてください。


認知症介護研究・研修東京センターケアマネジメント推進室 ホームページいつどこネット掲載


1.ざわめき・雑音のストレスから守る工夫を
■人の動きや出入りが多い所、雑音が多い所にいると本人は落ち着かなくなります
⇒ ざわつきや雑音が比較的少ない場所(奥まったところや出入り口から離れた所など)を
本人と家族らの居場所として確保しましょう。 注)本人となじみの人を離さないように。
⇒ 場所の確保が難しい場合、本人からみて視界に入るものが不安を駆り立てないように
本人の座る向きを工夫しましょう(出入り口と反対に向ける、人の少ない方に向ける等)。


2.一呼吸でいい、ペースを落として、ゆったりと、少しずつ
■周囲のペースで関わると、せっかくの関わりが本人を脅かしてしまいがちです。
⇒ あわただしい雰囲気や口調は、本人を混乱させます。急ぎたい時、緊張している時ほど
一呼吸いれ、力をぬいて、ゆったりとした言葉かけで接しましょう。
⇒ 一度にたくさんのことを言わずに、短い文章で、ひとつひとつ伝えましょう。
⇒ 食事、排泄、着替えなど、簡単なようで細かい動作の組み合わせです。動作が、
一歩一歩進むよう、本人の動きにそって、一つずつ声かけをしましょう。


3.本人なりに見当がつくよう、本人に情報を
■今、何が起こり、どうしたらいいか、本人なりに不安に思っており、本人への説明がないと
混乱が強まります。
⇒ 記憶や判断力の低下や会話が困難な人であっても、本人に向き合って、今の状況を
わかりやすく説明し、限られた情報を本人と分かち合いましょう。
例)ここは○○体育館だよ。今日は○月○日、今○時頃だよ。食べ物が○時頃、配られるよ。
⇒ 紙や筆記用具がある場合は、本人が知りたいこと、本人にわかってもらいたいことをメモにして
渡しておきましょう。本人が見えるところにはっておくのも一策です。
⇒ 本人が誰で、住所、連絡先、身内が誰かがわかるようなメモを本人に渡し、身につけておけるよ
うにポケット等にいれておいてもらいましょう。


4.飲食、排泄、睡眠の確保を
■声かけや見守りがないと一人で適切にできなくなり、認知症の症状や体調が増悪しがちです。
⇒ どのくらい口にできているか、本人の飲食料の一日の総量を確認し、限られた飲食物を確実に
本人が口にできるよう声かけをしましょう。ペットボトル等を置くだけでは飲めない人もいます。な
お、本人が飲食する際は、手指を拭いて、感染予防に配慮しましょう。
⇒ 避難所のトイレにいくまで手間取ったり、行きついても馴れないトイレでスムーズに用を足せない
場合、お手製トイレ*を作り、身近な場所で人目につかずに済ませられるようにする方法もあり
ます。 *新聞紙、ビニール袋、空いたペットボトル・容器等、ある物を利用して。
⇒ 睡眠リズムが乱れやすいので、眠る・起きるタイミングをつかめるように声かけをしましょう。指
示口調ではなく、「一日、ぶじでよかった。ぐっすり寝て明日に備えよう」、「そばにいるよ」など、
安心して寝起きできるような声かけをしましょう。


5.少しでも「快の刺激」を。
■不快がつのると、落ち付きのなさや苛立ちが高まり、抑えきれなくなりがちです。
⇒ 時折、一緒に窓の外をみる、玄関先等に一緒に出て、空を眺めたり、戸外の空気を
深呼吸するなどでリフレッシュしましょう。
⇒ 手足・首筋・腰等を温める(温めるものがない場合は、掌をこすって暖め、そっと手をあてる)、さ
するなどで、本人が落ち着くことがあります。
⇒ 触ったり、抱いて気持ちのいいものを本人に渡すのも一策です。例)やわらかいタオル、なでて
気持ちのいいもの、膝や太腿の上に暖かいもの、抱き心地のいい毛布、等
⇒ 本人の好きな歌、なじみの歌、わかりそうな歌を口ずさんだり、一緒に歌ってみましょう。
⇒ そばにいる時は、本人の目をみて、そっと微笑んで・・・一瞬でも、とても大切です。


6.体を動かそう
■じっとしたままだと、筋力の低下や血流の滞り、風邪などにかかりやすくなります。
⇒ 同じ姿勢を続けずに、時々姿勢を変えたり、体を動かすように声かけしましょう。
⇒ 足首を回すよう声かけしましょう。一人でできない場合、やって見せたり、手助けを。
⇒ 時々、一緒に伸び伸び、体を伸ばしましょう。


7.落ち着かない場合、抑えるのではなく、早目に本人にそった対応を。
■声をだす、立ち上がる、動き回ろうとする場合、抑えようとすると逆効果です。
⇒ 本人がどうしたいのか、そっと尋ねてみましょう(本人なりの要望や理由があります)。
本人の要望に応えられない場合も、否定しないで、まずは、要望を親身に聴き取りましょう。
⇒ 何もすることがないと落ち着かなくなりがちです。本人のできそうなことを活かして、
本人が力を発揮しながらエネルギーを発散できる場面をつくり、感謝を伝えましょう。
例)一緒にたたむ、片付けをお願いする、運ぶ・拭く・配る手伝いをしてもらう、見回りや監督役を
一緒にお願いする、子供たちや赤ちゃんのそばで見守り役をお願いする等。
⇒ 落ち着かなさ、興奮等が高まった場合は、関わる人を限定する(いろいろな人が関わると混乱強
める)。関わる方が落ち着いていると、本人も落ち着くことができます。
例)笑顔とアイコンタクトを。静かな場所で過ごせるように身振りで誘導する、
本人が安全に歩き回れるようにそばについて歩く。本人が嫌がらないか反応をみながら
そっとタッチし、ペースダウンをはかる、など。


8.本人を見守る家族や介護職員が解放される時間の確保を、現状や要望の確認を
■家族や職員は、本人から目を離せず、周囲に気を使い想像以上に消耗しがちです。
⇒ 本人の言動に対し周囲の人から苦情がでないよう、周囲の人たちをねぎらい、本人と家族、職
員らへの理解と協力をお願いしましょう。
⇒ 家族や職員が、トイレにいったり、飲食、休憩、仮眠などの際、安心して本人のそばを離れられ
る(解放される)よう、周囲の支えが必要です。
注)やむを得ず目を離したすきに、本人が避難所から行方不明になったケースがあります。
⇒ 短時間でもいいから本人の見守りを交代しましょう。その場合、本人がしっかりしているようでも、
本人から目をそらさずに、そっと見守りましょう。家族と交代する時に、本人が好む呼び名、好き
な話題を教えてもらうと、会話をしやすくなります。
⇒ できたら避難所の中にいる認知症の本人となじみの人(家族、職員、近所の人等)が集まって一
緒に過ごせる一角を確保し、一緒に見守ったり、交代で休む体制をつくりましょう。
⇒ 定期的に巡回し、本人の状態の確認をするとともに、家族、職員、そして本人の要望を具体的に
聴き取りましょう。


互いの心身をいたわって、一日も早く普通の生活に戻れますように