認知症による様々な症状に対しては、アセスメントをして必要に応じ対策を考えていくことが重要であることは言うまでもない。



こんなことがあった。


Iさんという、女性利用者。

昨年、認知症も徐々に進行していて、食事もとれなくなり予断を許さぬ状態に落ちいっていた。


薬を飲むのもままならず、主治医と相談しやむなく内服薬を中止し、食事が取れないので点滴をして栄養補助食品を開始した。

そしたら何が良かったのかわからないが、徐々に元気になり、以前と同じように食事が取れるようになっていった。

内服薬を全部中止したのがかえってよかったのかもしれない。

主治医からは利尿剤が一日おきに処方されていた。


今年に入り3月ごろから、「幻視・幻覚」の症状が出るようになり、そんな日は不穏な訴えと共に眠らないこともたびたびあった。


幻視や幻覚があるのは毎日ではなく、1週間に1度から多いときで2度程度。

興奮状態に移行して行き、一人で歩こうとして転倒したこともあった。

その日に彼女に何が起こっているか、よくよくアセスメントシートを見てみる。

そうすると、利尿剤を服用している日にその日が多いように見える。


主治医に相談すると、すぐにその利尿剤は中止するよう指示が出た。

中止してみると、幻視・幻覚を起こす日はめっきりなくなっていった。


生活リズムも安定してきて、食欲も十分あって3食きちんと食べている、最近ふっくらしてきたとの情報もある。

そうであれば、栄養補助食品は必要ないので、これも主治医に相談し中止することにした。


同時に排便のコントロールを始める。

今まではでなくなったら下剤を増やしていたが、そうすると失禁が多くなったり、奥のほうだけ軟便になったり、軟すぎたりすることで、腹部の違和感の訴えも多かった。

毎日の食後に整腸剤とセットで下剤を服用することで、毎日良い状態の排便にすることができた。失禁も減っていった。


この状態にして数週間経って、また変化が現れた。

幻視・幻覚が再度出現したのである。


利尿剤の影響だったころよりも頻度が高くなっていく。

夜寝ないことも、3日ほど不穏が続くこともある。

前よりもひどくなっている?印象さえあった。


なぜだろう?


利尿剤はやめている。

整腸剤で周辺症状がでるなんて、聞いたことないし。

栄養補助食品をやめたせいか?

また、全く別の何かがあるのか・・・・・?


7日GH協会で行われたスタッフ研修Ⅱ『疾患別認知症の理解』の担当だったため会場で内海先生の話を聞いていた。

その中で先生が『せん妄』の説明をしていたときだ。

『電解質の異常でも「せん妄」は起きます』

という説明がなんとなく気になった。


何故かというと、Iさんの症状は認知症による周辺症状というよりも「せん妄」に近いと感じていたからかもしれない。

Iさんに「電解質の異常が起こっているのか?」

そう考えた私は、栄養補助食品を再開しては?と考えた。

すぐに当日勤務するスタッフに伝え、その日から一日1袋再開してみた。


それから1週間がたった昨日、たまたまカンファレンスでIさんの近況報告を受ける。

あの後、一度も幻視・幻覚は起こっていないという。

毎日穏やかな日を過しているという。


まだ、何が起こるかわからないが、不思議なことだと思った。


彼女の体にはこの栄養補助食品が不可欠なものになっているのか?

そんなことってあるんだね。


電解質の異常なのかどうかは定かではないが症状が起きていないことは事実だ。


このまま不穏な状態が起こらないことを祈るばかりである。


しかし、こういったことがあるとしたら、本当に気をつけたい。


なぜそうなっているのか?

変化はなにか?


常に考えないといけない。


でないと、この症状がどんどん悪化して、それを抑える薬を飲まなくてはならなくなるから・・・・・


良かれと思って施すことが、逆に悪影響を与えることはあるものだ。

そのとき即元に戻すこと。

今までと変えたことにいつまでも執着せずに、それまでの状態に戻してみること。


そして何より、『気付き』なのである。


それが私たちの仕事なのである。


どんな気付きでもいい。


気付いて声に出して実践しよう。